日本エネルギー会議

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世界が注目する日本と中国の原子力技術の行方

日本国内では2030年の電源構成(エネルギーミックス)議論に注目が集中しているが、世界はその先に目を向けている現実を直視しなければならない。もし、日本の高い原子力技術にかげりが生まれるような事態になれば、世界の原発建設を中国がさらう可能性がそれだけ高まるためだ。

米国をはじめとする先進国の多くは、日本が原子力技術を維持、向上させる力強い意志を改めて確認するとともに、実行・実現し、「技術立国」として世界に貢献していく道を期待している。わが国としては、福島事故後のパニックを一刻も早く乗り越え、高い安全性と技術力を発揮できるしっかりとした体制を早期に再構築し、この期待に応えていかなければならない。

中国は自らの経済成長を達成し、地球温暖化問題の対応のためにも、原発開発・建設を「国家プロジェクト」として急ピッチで進めている。しかし、米国や日本、フランスなどといった原子力先進国に比べれば、明らかに後発であり、その技術の集積に課題を抱えていると言わざるを得ない。

アジアの新興国や世界の途上国は、今後、積極的に原発を導入していく方針を打ち出しており、こうした要請に原子力先進国は高い技術力に支えられた質の高い原発を供給していく役割が求められている。

このような国際情勢を受け、中国は「他国よりもコストは低い」として、自国の原発建設だけでなく、原発輸出にも強い意欲を示している。増大するアジアにおけるインフラ整備に対する資金確保のために、中国主導で設立準備が進むアジアインフラ投資銀行(AIIB)にも、その思惑が込められているといえよう。

◆日本への期待をかみしめて、歩むべき道を確認すべきだ
昨年12月に来日したカリフォルニア大学バークレー校のリチャード・ムラー物理学教授は「最新の原子力発電所をつくって、発展させていける実力がある国は、米国と日本だ。もし、両国が本気になって取り組まなければ、代わりの推進役は中国ということになるだろう。日本のエネルギー政策が原発を削減する方向に進めば、30年後には世界中の原発は全て“メイド・イン・チャイナ”という事態になるかもしれない。世界の未来のために先頭に立って、
安全かつクリーンな原発の技術を高め実証するため、米国と日本に期待される役割は極めて大きい」と強調した。

また、地球環境問題と原発の関連を題材にしたドキュメンタリー映画「パンドラの約束」を製作した米国在住のロバート・ストーン監督は、試写会のために2013年10月に来日。来場者との意見交換会で「米国は、現在、エネルギー資源では困っていない。エネルギー確保の面では、少なくとも10年は安泰だといわれている。しかし、中国も原発に力を入れているので、日本が原発の高度化を断念してしまえば、何かあったら米国は中国から技術を購入しなければならなくなる。私は日本の技術のほうがいいと考えており、日本には原発の高度化が出来る立場であることを忘れないでほしい」と、日本への期待を明らかにした。

こうした専門家の声に耳を傾け、日本の責務を認識する重要性を忘れてはならない。わが国は、産・官・学が真に結束して、原子力技術を高めていかなければならない。ここで紹介した2人の専門家の主張は、世界の多くの人々が抱いているものである。

世界の期待に応える技術の向上・確立のために、日本の役割を改めて確認し合うことこそ、今、最も大切なことだと訴えておきたい。世界が注目しているのは、日本の意志なのである。

2015.4.7
日本エネルギー会議事務局

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