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色あせた有識者会合評価書をどう判断するのか

原子力規制委員会は3月25日の定例会合で、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)と東北電力東通原発1号機(青森県)の敷地内破砕帯を調べてきた有識者会合の評価書を受理した。評価書では、敦賀原発については原子炉建屋直下を走る破砕帯を「将来活動する可能性のある断層等」と結論付けた。東通原発に関しては「敷地を南北に走る2本の破砕帯は活断層である可能性を否定できない。原子炉建屋付近の2本については判断できなかった」と複数の意見を併記した。

これにより2年余りにわたった有識者会合の調査・検討は終了するが、同会合メンバーの人選に始まり、法律的根拠の明確でない会合による見解の取り扱い、事業者との審議のあり方、海外も含めた専門家による見解の扱いなど、多くの問題点を抱えた会合の評価書は、いまや色あせた内容といった印象がぬぐえない。今後、新規制基準の安全審査で最終判断が下されるが、これまでの評価書に引きずられることなく、規制委が合理的な結論を導き出すように求めたい。

◆自ら認めた有識者会合の評価は「参考」という事実
破砕帯をめぐる有識者会合については、昨年12月3日の規制委定例会合で今後のあり方見直し方針が確認されている。同会合の評価結果に関わらず、破砕帯問題は規制委の安全審査で最終判断するというものだ。

東通原発は昨年6月、すでに新規制基準に基づく安全審査を申請済みで、敦賀原発も申請に踏み切る方針を固めている。この結果、いわゆる“活断層問題”は論議の舞台が規制委による安全審査の場に移ることになる。

評価書受理を受けて規制委の田中俊一委員長は「敦賀は曲折があったが、丁寧にやっていただいた。いつまでも結論を先延ばしにしていても仕方がない。あとは適合性(安全)審査に入るという段階にたどり着いた。審査を進めるプロセスに入る」と語った。

ただし、規制委は有識者会合の判断を「重要な知見の一つ」と位置付けているのが実情。つまり、このままいけばこれまでの延長線上で規制委が決着をつける可能性は高い。

◆「3条委員会」の名に恥じない体制の構築を
そうした事態を避け、合理的な結論に至るには、これまでの法律的根拠のない有識者会合の調査・検討に引きずられることのないよう新たなスキームを確立する必要がある。規制委は国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」の行政組織であり、それだけ大きな権限を持つ。それ故に、法律的根拠を重視した判断をする責務がある。この原点に立ち返って、事業者も納得できる結論を導き出すべきだ。

その責務を全うするためには、法律に基づく行政判断を重視する姿勢を基本としなければならない。これまでの有識者会合をめぐる最大の問題点は、事業者が示すデータに関して十分な理解を示そうとしない姿勢にある。もし、仮にそのデータに疑問があるならば、何が、どのように不足しているために理解できないと具体的かつ明確な問いかけを続けるべきであろう。こうした対話が不足しているからこそ、事業者は対応に窮しているのではないか。

数千億円の建設費をかけ、事業者の経営だけでなく立地地域の経済活動と直結する原発を“規制側の腹積もり”一つで「廃炉」に直結させる「活断層判断」は、もっと慎重の上にも慎重でなければならない。

破砕帯問題が新たなステージに向かう前に、規制委はこれまでの調査・検討の問題点を謙虚に検証し、体制を組み立てなおす必要がある。こうした姿勢を示してこそ「3条委員会」と名実ともにいえるのではないか。

2015.3.31
日本エネルギー会議事務局

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