日本エネルギー会議

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危うい世界情勢の下で

ヨーロッパ各地でのテロ事件は、ドイツでも起きるようになり日常化。イギリスでも国会議員がEU離脱問題で暗殺され、トルコでもテロやクーデターが起きるなど世界情勢は一気に不安定になった。ウクライナやクリミアでもロシアが攻勢をしかけ、アジアでは中国が南シナ海、東シナ海で盛んに領土拡大を図って近隣諸国との緊張を高めている。

このような不安定な世界情勢と原子力の問題を重ね合わせると、核兵器の拡散や原発などの施設に対するテロ攻撃や原発事故が、今までとは比べ物にならないくらいに可能性を増している。実際、ベルギーでは原発に対するテロ攻撃が計画された痕跡が見つかっている。世界の途上国では政権基盤が安定せず、国内に武装勢力を抱えているところが多い。いつイスラム国によってテロが起き、国内での対立で紛争地帯になるかわからない。

ロシアの国家ぐるみのドーピング問題は、そこで秘密工作と厳しい情報管理が行われていることを示している。北朝鮮は論外としても、中国における共産党による言論統制、事実隠蔽の酷さを見ると、原発や核施設での事故や事故につながる欠陥についてロシアも含め情報開示が適切に行われていない可能性が大きい。

従来、原発は途上国にとって豊富なエネルギーを供給して生活を安定・向上させるために推進されてきた。いまでも途上国は慢性的な電力不足であり続けており、再生可能エネルギー開発とともに原発導入にも熱い視線を送っている。そこへロシア、中国、韓国、日本(東芝傘下のウエスティングハウスを含む)が競って売り込みをかける構図となっている。韓国は契約した原発建設に向けてUAEに技術者を大量に送り込み、ロシアは昨年11月にエジプトに対し原発建設計画に協力することで合意し、今般原発4基の契約にも調印する。

日本が手を引けば他の国がそれを奪うのは間違いないが、日本の原子力産業は1970年から20年にわたるIJPC(イラン・ジャパン石油化学)の破綻を教訓にすべきだろう。核燃料が絡んでくれば、そのやっかいさは石油化学プラントどころではない。

日本の原子力産業が無理に海外に活路を見出そうとすれば、世界に核拡散や原発事故のリスクのタネをまく結果となる可能性がある。かつて途上国が原発を持つには自国内で自動車を生産出来る程度の工業力が必要だとされていたが、今日では長期に民主的で安定した政治情勢であることを条件とする必要があり、
政府は輸出促進一辺倒ではなく、しかるべきガイドラインを示すべきだ。  

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