日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

大間の電気

日本で商業炉が建設されて以来、原発は9電力と日本原電が独占的に建設運転をしてきた。その間、長らく水力や火力しか手がけてこなかった電源開発(Jパワー)は、遂に悲願の大間原発を建設することになった。その原発について原子力委員会は「中期的な核燃料リサイクルの中核的担い手である軽水炉によるМОX燃料利用計画を拡げるという政策的な位置付けを持つ」と1995年8月にお墨付きを与えている。ただ、大間の電気はマグロのような高値になりそうだ。

建設・運転までの道のりはどの原発の場合も長いものだが、大間原発の場合も例外ではない。政府系の会社が原発業界に参入することへの電力会社の抵抗は別としても、建設用地の買収、漁業補償に時間がかかった。2008年5月にようやく着工したものの2012年3月の運転開始予定は何度も延期され、現在は未定となっている。

1976年4月大間町商工会が大間町議会に原子力発電所新設に係る環境調査実施方を請願してから50年以上経つが、5年前には福島第一原発の事故が起き、電源開発はタービン建屋、原子炉建屋などの前面に防潮壁を設置すると発表。これから新規制基準適合性審査などを乗り越えなければならなくなり、さらに北海道函館市民グループから設置設計取り消しと建設差し止めを求める訴訟を起こされている。

超過酷ケースにおいては現在3回線による外部からの電源供給が絶たれることに備えて、更なる多重化を目的として、上北変電所を経由しないで六ヶ所変電所に至る回線を運転開始前に1回線増設することになっている。大間原発は出力が138万3千キロワットと超大型の原発であるが、これだけ建設期間が長くなり、設計変更も繰り返されたとなると心配なのはその発電コストがいくらになるかである。

本州の最北端に位置することから、電力の大消費地までの距離が長く、送電コストも相当にかかると見られる。もちろん、運転を始めればMOXの使用済み燃料が発生し、この処理処分費用も発生するがその額は不明だ。

ヨーロッパではEPR初号機のオルオキト原発3号機の建設で運転開始が設計ミスや部品の強度不足で当初の2009年から2018年に先送りとなったため建設費が当初の3倍近くなりその責任をめぐって係争中。また、フラマンビル原発3号機でも、圧力容器交換などで2012年の完成が2020年まで延びることで建設費が3倍に膨れ上がった。これでフランスのアレバは大きな経営危機に陥っている。

大間原発も当初の建設費は4690億円だが、2008年に着工後、東日本大震災で工事が中断し、新基準に合うように設計を変更したため、建設費は約6000億円に膨れたと言われる。運転開始の現段階までに建設費がさらに増えることは確実だが、実際にいくらかかるか、送電端でいくらの電気になるかはまだ見えていない。

巨額の建設費をかけた原発は、電源開発としても運転しないわけにはいかない。何よりも、「もんじゅ」がつまずいている現状では核燃料サイクル政策維持のため、プルトニウム消費が期待出来る大間原発の運転開始は国としても後に引けないだろう。大間原発の高い電気を誰が引き取るのか、そのコストは最終的に誰がどのようなかたちで負担するのか、国はどのようにして核燃料サイクルへの貢献を評価して、電源開発にどの程度の経済的支援を与えるのか。いずれにせよ、国や電源開発は消費者や国民に対して、そのあたりをきっちり説明する責任がある。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康