日本エネルギー会議

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タックスヘイブン

パナマ文書が明るみに出て以来、タックスヘイブンの問題がメディアでしばしば取り上げられるようになった。巨額の税金逃れが国家財政を脅かし、国民のために使う金がどんどん減っている。各国は協力してこの税金逃れを防止しようとしているが、見通しは必ずしも明るくない。

電力需給の世界においても、同様のことが起きそうな予感がする。中国やインドそして途上国の生活水準が上がるにつれて世界的に電力需要が高まり、それが引き金となって主要電源である火力発電用の化石燃料価格が長期的には高騰するだろう。さらに原発に関して運転中の安全確保のための費用、廃炉、放射性廃棄物の処分費用など原発の発電コストも上昇していく傾向にある。

こうしたコスト上昇は従来の枠組みでは、消費者が支払う電力料金に加算され、先進国でも途上国でも消費者が負担する電力料金がじりじりとあがっている。我が国では電源開発に係る税や使用済み燃料に課せられ税もあって、消費者の負担はますます大きくなっている。電気のような必需品は高いと思っても買わないわけにはいかず、消費者はせいぜい節電をするか、省エネタイプの電化製品に変えるしか抵抗が出来ない。

ところが、この高い電力料金を逃れる術が現れた。それが再生可能エネルギーなどによる電力の自給自足だ。10年分、20年分の電力を発電設備や蓄電設備を買うことで、電力料金を前払いしてしまいオフグリッドと呼ばれる状態にする方法だ。ハウスメーカーは既にZEHというエネルギー自給自足タイプのモデルを売り出している。現在では、これもタックスヘイブンと同じように一度に支払いの出来るお金持ちが対象だ。

もちろん現時点でZEHより電力会社から毎月購入したほうが安上がりだが、徐々に設備の値段も下がりつつある。次第に中産階級にもこの方法を採るようになるはずだ。天候不順や万一の事故のために、電力会社の送電線を残しておく人もいるが、そのうち電力会社との契約を打ち切る人が出てくる。

そうなるとタックスヘイブンでの税金逃れのように、電力会社から電力を買わざるを得ない一般庶民がその負担を一手にかぶらなければならなくなる。電力会社は今まで投資した分の回収をしなくてはならないので、ますます電力料金を高くしてくる。自由化後の電力料金はいったん下がるが、そのうち寡占化が進むと上昇すると言われている。最後は貧しい人ほど高い電力を少ししか使えないという矛盾に満ちた状態が待っているが、その時は意外に近いかもしれないのだ。

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