日本エネルギー会議

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新たに必要となる規制

近年、各地で一気に増えたのがメガソーラー、ミドルソーラーだ。建設期間が短いため、突如として山林が切り開かれ、あっという間にソーラーパネルが敷き詰められる。全国で耕作放棄地や経営不振のゴルフ場が次々と姿を変えている。福島県から東北自動車道を南下すると別荘地として名高い那須あたりで盛んに開発が進んでいる。青森県や秋田県の海岸に行くと、遥か遠くまで何百という風車が並んで、いままで見たことのないような景色となっていることに驚かされる。

福島第一原発の事故で避難区域となった町村でも、復興計画には必ず再生エネルギー計画が入っていて、すでにいくつものメガソーラーが完成して、これからの自治体の財源としても期待されている。全国の自治体では、電力の自給率を100パーセントにする目標を立てるところが多く、世帯数の少ない山間部ではすでに200パーセントを超す所もある。

かつて重厚長大産業が立ち上がった時、人々は高い煙突からもくもくと出ていた煙は産業発展のシンボルのように頼もしく感じたものだが、今や環境破壊のシンボルだ。はたして、メガソーラーやウィンドファームを見た人が、壮大な風景に胸を躍らせるか、それとも昔の風景が失われたことに心を痛めるかどちらだろう。

広大な砂漠や平原のあるような国と違い、日本は緑に覆われた山が多く、低い山は植林され、平地はくまなく耕され、道路沿いには人家が並ぶといったように徹底的に利用されている。かつて新幹線に乗ったプーチン大統領は「日本では駅と駅の間にずっと街が続いている」と印象を語ったくらいに人の手がはいっている。

そんな国土にソーラーや風力発電が急速に進出したため、そこここで金儲け主義と景観の保全がぶつかって醜態をさらしている。八ヶ岳や清里というイメージが大きく崩れた山梨県北杜市は代表例だ。これらは安倍首相の掲げる「美しい国」にはまったくそぐわない。これ以上ひどくならないように、国土利用の最適化を目標に、国はもっと規制を高度化し、日本独自のきめ細やかなものにすべきだ。「高度化」は霞ヶ関の役人が好んで使う言葉だが、バランスの取れた、細かいところまで行き届いた、最初から抜け穴のないものであってほしいということだ。

メガソーラーの評価を例に採るならば、「減点対象項目」として国立公園、自然遺産、歴史遺産、典型的な里山、農業・林業などに向いている土地、住宅街の近くや住宅地向きの土地、自然災害の防止に支障がある場所など。「加点対象項目」としては高速道路沿い、新幹線・在来線沿いの土地、基地や飛行場周辺・離着陸飛行ルート下など騒音のある場所、同じく風力発電の風車まわり、送電鉄塔・通信用鉄塔周り、ゴミ焼却場・廃棄物処分場周辺の土地などだ。

廃棄物置き場(約7万㎡)にソーラーパネル2万枚を敷き詰めたメガソーラーを造った例が富山県にある。富山県企業局は、射水市の石炭灰処分場に出力4.5MWのメガソーラーを約一年間で建設し、先ごろ稼働した。石炭灰を処分した上に50センチの覆土をしており、地表面を造成できないため置き基礎を採用した。福島第一原発の事故で出た放射性土壌を貯蔵する施設の上にソーラーパネルを設置すれば、直射日光で袋が劣化したり、雨水がたまったりするのを防いでくれるだけではなく、これから30年間電気を出し続けてくれるメガソーラーとなる。

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