日本エネルギー会議

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基幹電源の条件

基幹電源の条件には安定的であること、経済的であること、安全であること、環境に悪影響がないことがある。どれを優先すべきか議論のあるところだが、地球温暖化問題が注目されるなかでは環境、福島第一原発の事故後では安全が重視される傾向があり、それこそ再生可能エネルギーが期待をされる所以でもある。しかし、安定性や経済性については今のところ火力発電、原子力発電が優位に立っており、再生可能エネルギーはいまだしの感だ。

現実的には火力発電や風力発電、地熱発電は環境アセス、原子力発電は基準適合審査や住民の合意という点で計画から発電までに多くの時間を要する。また、一度運転を始めれば、何十年という長期にわたる発電が前提での経済性だ。

ここで悩ましいのは今建設しようとする発電所の設計水準は、数年前あるいは場合によっては10年以上前のものということ。建設が終わって運転開始となり、その後数十年間の運転をすることを考えれば、その間に燃料が高騰したり、輸入出来なくなったり、安全や環境に関して規制の基準の変更があったり、国内外で事故が起きたり、さらに安全性の高い設計の原発が生まれたり、住民の意見が厳しいものになったりすることが避けられない。

そのため設備を追加したり、物理的な寿命にかかわらず発電所を廃止したりせざるを得なくなる恐れがある。それは発電所の経済性に大きな影響を与えるが、そのリスクは長期にわたって運転する設備ほど大きい。そうなると運転開始時に基幹電源として認められていても、その後、条件が整わなくなることも十分にありうる。

技術開発は性能、経済性、安全性の向上などを目指して行われるが、そのスピードが増していることが近年の特徴で、規制基準はそれを後追いしようとする。経済性に関しては、ITのように改良や普及により数年で価格が半分になる場合もある。性能に関してもいきなり大幅アップしたりもする。各種の電源について考えると、再生可能エネルギー、なかでもソーラーパネルはその構造からして技術改良や量産によって短期間に劇的にコストが下がる性質がある。2050年には太陽光発電のコストが今の半分程度になるという予測もある。

もしその通りなら欠点である間欠性を補うために蓄電池を併設したとしても、買取制度なしで火力発電や原子力発電に十分対抗できることになる。その頃に既存のソーラー発電の買取は終了するが、設備のリプレイスは経済性からしても容易なものとなる。同じように既存の原発もいずれは運転期間を終了するものと思われるが、そのリプレイスは資金調達、コスト競争力、住民の受け入れなどどれをとってみても容易とは言えない。

このように考えると既存の原発は基幹電源としての条件を満たしているとしても、新しい原発は基幹電源の条件をクリアーするには今後相当の改善が必要なことがわかる。中長期的な基幹電源の選択の際には、最初に述べた条件のほかに、各電源の将来的な技術進歩の見通しを条件に入れる必要がある。

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