日本エネルギー会議

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千年に一度の災害にどう向き合うか(5)

前回の福島第一原発の事故を踏まえて、「千年に一度の災害にどう向き合うか」
の基本方針のうち、1.発生確率の推定2.被害の推定は精度を上げるのが難しいが、3.対策は具体性があり、如何に少ない費用や時間で最大の効果を期待出来るか、まさに知恵の出しどころだ。

「神戸の三宮で乗用車が暴走」というニュースで驚いたのは、死者が出た以外に7人が怪我をしたが、そのうち二人は運転手と同乗者でこれは軽傷だったということ。理由はエアバッグが適切に膨らんだからだ。車の事故を防ぐ、あるいは車そのものを強くすればコストがかかり、性能も落ちてしまう。エアバッグは生命を守ってくれてコストも安い。人命を助けるという面からエアバッグほど偉大な発明もなく、ノーベル賞に値する。

交通事故による死者を減らすにはエアバッグは素晴らしい次善の策の手本だが、原発の場合はどうだろう。福島第一原発の事故後の検証では、高台に非常用の独立した電源を用意することが有効であることがわかり、すべての原発でそれが比較的安い予算で短期間に実行されている。これを東日本大震災以前にやらなかったことは、かえすがえす残念だ。

中部電力は浜岡原発に莫大な投資をして巨大防潮堤を完成させたが、この投資を回収出来る算段がついているのか。次善の策はなかったのか。既に行った原発建設に対する巨額の投資に引きずられ、判断を急ぎすぎたのではないか。このことについて株主や消費者に対する説明がされるべきだ。

高い発生確率とあまりにも巨額の対策費が必要となると、将来のエネルギーとして原発を選択しないということもありうる。しかし、原子力の関係者はこぞってそのことを封印しようとする。それは原子力こそ人類のために手に入れたほぼ無限のエネルギーであると固く信じており、無資源の我が国では必須のものと考えているからで、原発なしという選択肢は頭の中にないからだ。そうであるならばなおさら次善の策を必死に探求しなければならないはずだ。

「安くて、早くて、美味い」だから、立ち食いそば屋は、熾烈な競争をしながら全国どこでも繁盛している。地域独占、総括原価方式の下での原発では、立ち食いそば屋の発想は生まれにくいのかもしれない。

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