日本エネルギー会議

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「たられば」が重要

「たられば」は日常の会話でもよくつかわれる。麻雀をやっていると、「もし一周前にリーチをかけていたら」とか言う人がいるものだ。戦記ものでも、「もし、ミッドウェー海戦で南雲司令官が…」などというのがある。

辞書によれば、[連語]《「もし…していたら(したら)、もし…していれば(すれば)」の意》事実とは無関係な仮定の話。また、事実とは異なることを仮定してする後悔。してもしかたがない話という意味で使われることが多い。となっている。

どちらかといえば、「たられば」は、後悔先に立たず、いまさら考えても無駄なことだ、いつもの愚痴だと思っている人が多い。だが、原子力安全について考えるとき、「たられば」は重要だ。深層防護の原理は簡単に言えば「たられば」だ。ある安全系の機器が機能しなくなったら、どのようにして必要な機能を維持するかと検討することだ。福島第一原発の事故において、あのような大惨事にならず早期に収束させることが出来るチャンスがたくさんあった。大津波に襲われても非常用電源さえ水没しなければ、あるいは電源車がもっと早く到着していれば炉の冷却が出来てメルトダウンには至らずに済んだ。3号機と4号機の排気管が独立していたら4号機が水素爆発することはなかったなど「たられば」はいくらでもあった。

「たられば」は事態が悪化するか、立ち直れるかのターニングポイントを指し示していることが多い。事故の経過をくわしく分析して多くの「たられば」を発見し、他の原発でその「たられば」がどうなのかを調査し、立地、設計、製造建設、運転保守、事故対応、住民避難にまで立ち返って必要な措置を取るようにすることが大切だ。そうすることで対策を合理的にし、一番経済的に実行することも可能となる。原発の一層の安全性の向上を目指すのなら「たられば」を馬鹿にせず、これを活かすことを真剣に考えることが重要だ。

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