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もんじゅ報告書で一言

もんじゅの新たな運営主体が備えるべき要件について、文部科学省の検討会が報告書をまとめたことについて5月30日付けの読売新聞の社説は次のように評価している。

報告書が「現在の運営主体である日本原子力研究開発機構は、研究がメインであり、もんじゅも機構内の研究部門の一つと位置付けられてきた。研究に比重を置く運営形態が相次ぐトラブルの背景にある。もんじゅは、当初、核燃料サイクルの完成を目指す特殊法人「動力炉・核燃料開発事業団」が開発を担っていた。その後、別の特殊法人と統合された結果、もんじゅの存在は埋没し、運営責任の所在もあいまいになった」としたことはその通りであり、したがって「原子力機構からもんじゅを切り離す」という対策も妥当である。

私はもんじゅの建設時代に山一つ隔てた隣の日本原電敦賀原発に勤務していた。
しばしば訪問したもんじゅの建設事務所は二階建てのプレハブであり、一階は工事監理を任された日本原電の社員が入り、動燃職員は二階にいた。それから私は本社勤務を経て、敦賀事務所に異動したが、その時もんじゅのナトリウム事故が起きた。

その後再び本社に戻った時に、もんじゅに運転員として応援出向していた者が部下になった。彼はナトリウム事故の際にたまたま当直にいたが、事故発生後すぐに現場で対応しようとしたところ、動燃職員である上司に「これは大事な研究材料だから一切触らないように」と言われ、発電所は電気を出すことが使命と考える電力会社と比較して動燃との体質の違いを強く感じたと話してくれた。

そのことからすると、動燃がなくなって原子力機構に統合されると運営責任があいまいになったと書かれているが、動燃時代から発電を目的とした電力会社の原発とは風土がまったく違っていたが、原子力機構になってから一層その傾向が強まったと言えるのではないか。私も発電所は研究組織の文化ではうまくいかないという点はその通りだと思う。

社説では、「現行の保守管理計画は、2008年末に当時の経済産業省原子力安全・保安院の指示により、2か月間で拙速に策定された。特殊な炉でありながら、一般的な原発と同じ点検項目を採用したことなどが、その後の点検不備につながったことは否めない」としている。

社説では「特殊な炉」と言っている。高速増殖炉はナトリウムを使うが、ざっくり言えば基本的な構造は原子炉とタービンからなる発電炉と同じだ。多くの機器の点検、修理は一般的な原発となんら変わらないはずで、運転やメンテナンスの基本は原発そのものである。であるから運転開始後も電力会社からベテランの運転員や保修員などを出向させて支援していたのだ。

たくさん出てきた点検漏れなども高速増殖炉特有のものとは言えない。設備台帳を作成し、点検頻度を決めて点検することなど電力会社の原発でやっていることは何も変わらない。ひとつひとつ完全に潰していくという仕事のやり方が当たり前として定着していなかったのだ。

また、電力会社の担当者は検査にあたって国と電力会社を検査をする側と受ける側として緊張感を持って対応していたが、動燃は事業団であり、国の予算を使い国の仕事をしていると言う意識が職員にあったのではないか。検査をした側のある人の感想によれば、動燃職員の場合、検査官と自分たちは同じ役所どうしで対等な立場であり、先方は検査を仕事にしているに過ぎないと考える傾向があったようで、検査をする側とされる側の緊張感があまり感じられなかったようだ。

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