日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

千年に一度の災害にどう向き合うか(3)

今回は日本の現状を踏まえて、「千年に一度の災害にどう向き合うか」の基本方針について。
方針は世間一般の人たちの常識をベースに考えることにする。自宅に地震保険を掛けるかどうかを検討する時に、これからどのくらい大きな地震がくるか。自宅が建っている地盤は強いのか。活断層は近くにないか。この土地では過去にどのような地震があったのか。家の耐震性は基準に比べてどうなのか。もし、熊本地震のように強い地震が二度来たら家はどの程度まで壊れるのかなどと考えるはずだ。対策としては地震保険を掛ける以外に、耐震診断をしてもらう、耐震補強工事を検討する。すぐに出来るのはなにか。金のかからないのはどれか。安くて効果のありそうなものはすぐやる。しばらく様子を見る、まったくやらないなどもひとつの選択肢ではあるが、根拠なしに何もしないのはリスクが大きすぎるだろう。最大事故想定やその発生確率を知り被害想定をして対策にかかる費用と比べることは、合理的な対策を打つためにどうしても必要である。
(基本方針)

大きな自然災害の発生確率を推定する。それに伴う原発の重大事故の発生確率を推定する。これらは実績を基にある程度幅をもって推定するが、新たな事実が判明したらすぐに取り入れる。当然、原発の立地地点、原発の型や設計によって差異が生ずるはずである。

事故による被害について推定する。原発そのものの被害、周辺住民や産業の被害、事故収束や廃炉にかかる費用なども含め最大限どの程度になるかを求める。新たな事例が起きたらすぐに取り入れる。これも原発の立地地点やその周辺の人口や産業の集積によって差異が生ずるはずである。

対策を規模や方法や対策に要する期間に分けて考え、その費用を見積もり、費用対効果も出しておく必要がある。ひとつの方法に絞らないこと。国内外での新たな対策などがわかったらすぐに対策の見直し、費用の算出をする。

ここで、それぞれの項目がなぜ必要なのかを確認しておきたい。
「自然災害・大事故の発生確率」は、確率の高さによって被害の推定や対策にかける費用と対策に必要な期間を決めるために必要だ。個々の原発の立地や設備によっても確率は違うとしたが、確率が高い原発は被害推定や対策実施を急がねばならず、費用も重点的に掛けることになるからだ。さらに新たな原発を建設する際にも発生確率は活かさなければならない。

次に「被害推定」は対策の範囲、費用などの妥当性を見るために必要だ。対策に掛ける費用が相当大きな額になる場合でも、推定被害額がそれよりはるかに大きな場合は対策を実施する必要がある。あまり確率の高くない自然災害・大事故に関しては費用や時間を掛けるわけにはいかない。もっと確率が高いもの、推定被害額の大きなものに重点的に対策費を使う必要があるからだ。逆に考えれば、あまり費用と時間が掛からない対策が見つかれば、確率が低く推定被害額がそれほど大きくない災害に対しても対策が可能となるということになる。 

福島第一原発の事故が起き、改めてこの三項目を見ると、国や東京電力は明らかに検討不十分であったことがわかる。対策についても推定被害額を具体的に考えるのではなく、残りの運転期間が短いことが念頭にあって対策を躊躇したように思える。また、防潮堤を建設することにこだわってしまい、もっと少額で有効な対策がないかという検討をしていなかったようにも思える。被害に遭った福島県民にしてみれば、国や東京電力が基本方針三項目をもっと真剣に考えてくれていたならと言いたくなる。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康