日本エネルギー会議

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破格のプレミアム券

福島原発周辺の市町村で原発事故からの復興支援として、「地域振興券」、「プレミアム付き商品券」の発行が行われる。政府は補正予算で約140億円を商工業者の再建支援の名目で福島県に交付。これを使って各市町村はかつて例のない大きなプレミアムのついた商品券を発行する。

福島民友によれば、広野町議会は今月12日、震災当時からの町民に対し、1人当たり10万円の給付金と10万円分の地域振興券の計20万円分を配ることを決めた。振興券はプレミアム率を50パーセントの高率にする。7月に配布が始まる見通しだが、そこまでする狙いは避難区域内の事業者の経営再建支援と住民の帰還促進。その裏には、広野町は福島第一原発の事故後に全域が緊急時避難準備区域となったが、半年後に解除されたため楢葉町や富岡町などと比べ賠償額が少なく、その是正を求める声が大きいことがある。

広野町のプレミアム付き商品券は1セット当たり1万円で額面1万5000円分のものを発行。町民限定で1人当たり10セットまで購入可能だ。地域振興券、商品券は、町商工会加盟事業者で利用できる。ここまでバラマキをするとは驚きだが、それだけ国や自治体は地域復興と住民帰還促進に躍起になっているということだ。

対象者について福島民友は、「東日本大震災が起きた2011年3月11日時点で町に住民票があり、今年4月1日現在の町民で、震災後から今年4月1日までに町民と結婚した配偶者や生まれた子どもも含むことにしている。震災後に町内に移り住んだ作業員や、他市町村へ住民票を移した人は対象に含まれない」と事実だけを伝えているが、一番の問題はここだろう。

実は多くの避難者が家を新築して職場も学校も日常の公共サービスも移転先に依存しているにもかかわらず、住民票を5年たっても移転先に移していない。少しでも人口を減らしたくない市町村はこれに黙認を続けている。この人たちは給付金、地域振興券、商品券の対象者になって恩恵を受けることが出来、まっとうに住民票を新居に移した人は受けられない。このようなことがあるかもしれないと住民票を移さなかった先読みの良かった人たちの粘り勝ちということになり、誠に理不尽だ。買い物をしてもらえる地域の事業者は助かるが、住民の帰還促進にはまったくつながらない追い銭だ。

広野町ではプレミアム付き商品券を6000セット(総額9000万円分)用意するが、50パーセントのプレミアムを「濡れ手で粟」と4人家族で40セット購入する世帯も出る可能性がある。避難区域にある住民票は特権になりつつある。

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