日本エネルギー会議

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電気のコストを考える

政府は昨年夏、経産大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の小委員会で、2030年時点の日本の望ましい電源構成を決めた。その際に事務局が示した各電源の発電コストについて原発のコストが安すぎる、実際にはもっと高いのではないかと疑問を呈した委員もいたが、政府は原発の発電コストは安いと判断しており、再び活用すれば料金を抑制できるとみている。
だが、原発の発電コストを論ずる前に、電気のコストはどのように評価するべきか、次の点を論ずる必要がある。

(1)
現在は大容量の原発や火力発電で発電した電気を送電線で長距離送電して消費地で使うために発電コストを問題にしているが、将来再生可能エネルギーの割合が大きくなれば、発電端ではなく使用する所でいくらになるかを比較することが必要になる。コスト評価は発電端か受電端かの議論が必要となる。
(2)
電源の建設費、燃料費(輸送代、備蓄代を含む)、人件費、本社経費、借入金の利息など直接的なものだけでなく環境へのマイナス影響(炭素税のように金額換算出来る場合もある)、廃棄物の処理処分費、安全対策費や避難準備にともなう費用、事故が発生した場合の補償、社会対応費(広報や地元対策にかかる費用など)もコスト計算に入れる必要がある。
(3)
稼働率をどのように想定するか。原発のように定期検査期間外は長期にフル稼働する場合と風力や太陽光などのように間欠的なものがあり、年間どの程度の稼働率を見込むかでコストは変わってくる。どの電源を優先して使うかの問題もある。(火力発電の場合、しばしばバックアップ電源としてスタンバイ状態になるため、極めて低い稼働率になっている)
(4)
長い年数にわたって運転することを前提としていたが、何かの事情により途中で廃止しなくてはならなくなった場合、その電源での発電コストは高くなる。逆に高浜原発のように規制基準をクリアーして償却完了後も運転すればコストは安くなるが、その可能性をどのようにみるか。
(5)
間欠的な発電をする風力発電や太陽光発電を電源として使うために、蓄電池、制御機器などを使用する場合、これをコストに含める必要がある。
(6)
燃料調達が不安定で調達コストが上下する場合は、発電コストはその  都度変動する。先行きは不透明であるが、原発から出る廃棄物処理処分費用なども同じく不透明である。その点どのように評価するべきか考える必要がある。
(7)
太陽光発電を農業と組み合わせる、林業とバイオマス発電を組み合わ せるなどの場合、経費を分担させることが出来るため、発電コストは安くなる。
(8)
原発の場合、核燃料や使用済燃料などに自治体が課税する場合、その分をコストに含めなくてはならない。
(9)
太陽光のパネルのように年々設備のコストが安くなる見通しがあるものと原発のように新しいものほど建設コストが高くなる傾向のあるものについて、これをどのように評価するか考える必要がある。

今後、将来の電源構成を想定する場合には、上記の点について妥当な条件設定をしてから議論をすることが必要だ。それには従来の実績の収集分析、技術などの将来予測についてさらなる調査、研究がなくてはならない。

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