日本エネルギー会議

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待望の自主的安全活動

原子力業界が原発の安全性を自主評価する新たな仕組みをスタートさせる。「自主的取り組み」と聞くと、福島第一原発事故前の過酷事故対策のように、やってもやらなくても各社の自由という良くないイメージがあるが、今回はかねてより実現が難しいと思われていたものだけに期待も大きい。

具体的には、原子力安全推進協会(JANSI)や電力中央研究所原子力リスク研究センター(NRRC)と連携して、個別の原発の安全レベルを数値化して評価する「発電所総合評価システム」を来年度から導入する。他にもリスクを定量的に評価する確率論的リスク評価(PRA)手法の高度化や事故発生時の被災者支援体制の充実も行う計画だ。

原子力安全推進協会が、各原発に検査員を派遣し、事故などを防ぐ保安体制や運転状況を5段階で評価することになり、早ければ2017年度にも実施する。この検査により評価が高い原発にはなんらかの金銭的メリットを与えることを考えているようだ。

原子力安全推進協会は電力業界が2012年に設立した自主安全組織で、代表を務める松浦氏は元原子力安全委員長だ。氏は協会設立時に、日経新聞のインタビューで原発に格付けをすることに関して 「今すぐには導入しないが、いずれはやりたい。格を付けることが重要ではない。安全志向の考え方を徹底するのに必要ではないかと思っている」と語っていた。松浦氏の想いは4年がかりで叶ったようだ。

安全推進協会の設立からさらに遡ること10年の2002年春、日本原子力産業会議(現在の日本原子力産業協会の前身)は「スリーマイル島事故の後、アメリカの原発が何故高稼働率を達成出来るようになったか」をテーマに原発の運用管理体制や人材育成・確保に関する調査団をアメリカに送っている。調査団は電力会社やメーカーからメンバーが選出され、私もその一員であった。

その報告書によれば、「アメリカにおいてはNEIやINPOなどのリードで、各原発が運転成績や安全性を競い合うなど互いに競争するとともに、グッドプラクティスなどは進んで教えあうなど協調も盛んに行われている」としている。(裏を返せば、日本の業界では競争は嫌がり、自分のところの情報は出さず協調性も乏しいということ)  
私は、アメリカでは余りにも市場原理主義的、極端なアメとムチの使い分けなど問題も感じたが、競争と協調によって総じて関係者の緊張感が生み出されるとともに、オープンマインドな雰囲気もあって、アメリカの国柄によく合致していると感心するとともに、ぬるま湯のようでありながら、クローズマインドな日本より原子力産業としては、ずっと良い状況だと思った。

帰国後、業界誌に「真の競争と真の協調を」と題して、業界団体は設備利用率、被曝線量、放射性廃棄物発生量、放射性物質放出量、事故トラブル件数、メンテナンスコスト、労働災害統計、立ち入り人数などに関して、発電所の格付けを行い、併せて上位プラントの表彰などで、各社が格付けを意識するように仕向けること。事故隠蔽などの不正を防止するため、業界内部で違反にはあらかじめペナルティを定める。業界団体が優良数値、優良事例をベンチマークキング、ベストプラクティスとして発表することなどを私なりに提案したが、これらが今日に至る十数年もの間、ほとんど実現出来なかったことが悔やまれる。

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