日本エネルギー会議

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原発は地域を潤すか(2)

地元に東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟日報が、 原発は必要か「検証 経済神話」と題する、興味深い特集記事を2月14日から23日まで8回にわたって報じた。

(人口は増えたのか)
特集第1回の記事によれば、1974年8万人であった柏崎市は10年後の1985年には14.6万人になると計画した。市は原発が来て雇用も所得も増え、これが人口増につながると見込んだ。しかし、現実には思うほど人口は増加せず、1995年の8.8万人をピークに減少に転じ、2015年には8万人を割り込んだ。原発建設時には転入者が転出者を上回ったが、7基完成の前年には再び転出者が逆転した。その結果、1975年から40年間で、柏崎市は県内の三条市や新発田市より人口減少が激しいところとなってしまい、原発立地による人口増加は神話だったというのだ。

福島県浜通りで、東京電力福島第一原発6基の建設が行われたのが、1967年から1979年。第二原発4基の建設が行われたのが、1975年から1987年。ちなみに柏崎刈羽の7基は1978年から1997年の間に建設された。

第1図 福島県内町村の人口の推移(1965年を100とした指数)

第一図のグラフが示しているのは、福島県内の町村の人口は平均的に1960年から減少し始め、20ポイント低下したところで減少が緩やかになっていること、それに対して福島第一原発の建設がスタートした頃から立地自治体である大熊町、双葉町、富岡町の人口が増加し始め、特に大熊町、富岡町は30ポイントも上昇したことである。広野町の後半の上昇は広野火力建設によるものだ。

日本において地方の人口は下図のように1960年頃から減少の一途をたどっている。
第2図 三大都市圏及び東京圏とそれ以外の地域の人口が総人口に占める割合

(出典)国土交通省国土審議会政策部会長期展望委員会「国土の長期展望」中間とりまとめ

この減少傾向の中にあって、福島県の浜通りの町は明らかな人口増加を示しており、これは原発や火力の建設によりもたらされたものと考えられる。
新潟日報の特集記事によれば、地域経済を人口の観点から研究する日本総合研究所の研究員は「データを見れば原発があることだけでは転入者が増える要因は見当たらない。人口増加に貢献していない」とあるが、福島県の実績からすれば、この指摘は福島第一第二原発に関しては当てはまらないことがわかる。

次に他の原発立地地域においてはどうなのかを第3図で見ると、推定値ではあるが地域差のあることがわかる。

出典:国立社会保障・人口問題研究所『日本の市区町村別将来推計人口』(2008年12月)により作成

大熊町、富岡町は比較的上位であり、柏崎市、刈羽村は中程、若狭湾にある町と志賀町、女川町、伊方町は下位にある。これからすると、いちがいに「原発立地と人口問題は関係がある」とも言えないことがわかる。

では、何故福島では原発建設が人口増加につながり、柏崎市や刈羽村では人口増加につながらなかったのだろうか。その謎を解く鍵は「人口増加をもたらす、あるいは人口を維持出来る要素は何か」を考えることであり、次のようなものだ。逆説的に言えば、従来何もなかったところほど人口増加は目立つ。
(1)新たに出現した安定した雇用先(共稼ぎも含め)(原発の基数にもよる)
(2)他地域より高い給与水準、より良い福利厚生施策など
(3)家を建てやすい地価、安い家賃、宅地に開発可能な広い土地
(4)充実した社会インフラ
(5)行き届いた行政サービス
(6)高校や大学、病院、介護施設の存在
(7)便利な商業施設、病院などの存在
(8)暮らしやすい自然環境、厳しすぎない気候
(9)通勤可能な都市、大規模商業施設や文化施設がある都市が近くにあること

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