日本エネルギー会議

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原発を取り巻く世界情勢

誰しも最近の世界情勢の変化に関心を抱かないわけにはいかない。私が1歳の時に第二次世界大戦が集結し、物心ついてからいままで東西冷戦、中東危機、ソ連の崩壊、アメリカのアジア中東での戦争、途上国の躍進、同時多発テロと続いてきた。しかし、ここ二、三年でアメリカが世界の警察官を放棄し、世界の秩序がひどく失われかけそうになっている。人口爆発はまだ続いており、温暖化はいよいよ異常気象を引き起こして大災害が世界中に頻発している。中東における力の空白から内戦、テロ集団による破壊、難民の大量発生など。こうしたことが、明らかに世界がいままでとは違うフェーズに入りつつあるということに気づいた人々は身震いしている。

これからテロの日常化、ヨーロッパの混乱と中国経済の崩壊による世界全面不況、中東や東アジアでの国際紛争の拡大、巨大台風、干ばつ、大雨などありとあらゆる混乱の元が待ち構えているだろう。書店には「人類の滅亡」のようなタイトルの本が並び始めている。

人々が暮らすために欠かせない電気を供給する原発は今後どのような環境におかれるか、電気以外のエネルギーの確保をどのようにするかなども考えておくべきだが、世の中はまだそこまで意識が及んでいないようだ。

新たな基準により原発がテロに耐えられるかが議論されているが、小説「原発ホワイトアウト」で書かれているように、何百とある送電鉄塔の一つが破壊されるだけ、変電所が爆破されるだけで原発は直ちに停止し送電も受電も出来なくなる。するとどのような状況下でも非常用電源が動くかが試される。テロで運転員が人質になることも防ぐ必要がある。使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物もまだ地下深くに安置されているわけではない。これらもテロから防護されなくてはならない。

中東など途上国への原発輸出が政府によって強力に進められているが、果たしてそんなことが商売のためと許されるのだろうか。日本メーカーが輸出しなければロシアや中国が喜ぶだけだという理屈は、私としては受け入れることは出来ない。中国経済の崩壊が一党支配体制の破綻に結びつけば、中国の何十基とある原発の安全はどうなるのか。北朝鮮のキム・ジョンウンが暴発すれば、韓国の原発も心配だ。

大地震や大津波が起きなくても風速70メートルの台風やハリケーンは高潮を伴い原発の安全にとって脅威となる。いままで経験したことのない大雨は崩れたことのない山に地すべりを起こし原発サイトが埋まり、道路も不通となることは予想の範囲だ。

第三次中東戦争になれば、電気だけでなく輸送用のガソリンも火力発電用の天然ガスもピンチとなり、日本のインフラや産業は完全に機能しなくなる。その時、アメリカやロシアは石油や天然ガスを売ってくれるのか。再稼働した原発や石油備蓄はあるにせよ電源として多くを依存している火力発電の天然ガス供給対策はどうするのか。   

3.11で原発が全部止まってもなんとか切り抜けたが、天然ガス火力が全部止まれば大停電は必至だ。原発、石炭石油火力、再生可能エネルギー、蓄電などあらゆる手段を使ってカバー出来るようにすべきだ。一朝一夕には無理なことだが、計画をつくり1パーセントづつでも目標に向かって努力を続けるべきだ。

この問題を国会で誰も質問しないのは、政府に回答が用意出来ないからなのだろうか。完全な準備不足で大きな犠牲を出した阪神淡路大震災、東日本大震災、福島第一原発の事故と同じことが全国版で起き、多くの日本人の命が失われることになるのは確実だ。世界情勢の雲行きが怪しいなか、日本においては政治家も経済人もメディアも、そのリアリティーのなさは驚くべきだ。

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