日本エネルギー会議

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事故後5年で見えてきたもの(3)

(ほど遠い真の安全確保) 

福島第一原発の事故後、多くの事故調査委員会が報告書を出し規制当局の体制ががらりと変わった。安倍首相が言うところの「世界一厳しい規制基準」が作られ、それに適合したと原子力規制委員会が認めた原発が再稼働した。立地自治体は避難計画を作り訓練も行った。

今年になって原子力委員会のメールマガジンが、岡芳明委員が書いた「安全性と日本人の長所・欠点」と題する文を載せている。
内閣府原子力委員会

久しぶりに我が意を得た内容で、「日本では改善が効果的に進まない」「小さいトラブル対応に事業者が精力を使い果たして、過酷事故など、国民に影響がある重要な安全問題への対応がおろそかになった」「日本の中では品質保証を時としてペーパーワークと捉えていることがある」「東電福島事故の背景となる要因として、こうした細部追求が行われた結果、その対応に事業者・行政とも精力を割かれ、結果的に過酷事故の検討がおろそかになった」「リスクに基づく安全重要度の把握と、その程度に応じた、重点化した安全行政の運用を、日本人の長所は欠点でもあることをふまえて確立する必要がある」「日本文化の長所は欠点にもなる。この点に気が付いて、修正し、原子力発電の安全な利用を図るのは、安全の実質的向上や国民負担の合理化のために必要で、世界に対する日本の責務でもある」などとあり、原子力規制委員会の審査があいかわらず肝心なところに力が入らず、いたずらに事業者の精力を無駄にしていると指摘している。

岡芳明委員は、「本当に危ないところに的を絞ってやらないと、枝葉末節や形式や文書にこだわっていると過酷事故などは防げない」と主張しているのだが、実際は事故後も以前のような日本人の欠点がもろに出ているようなことをしていると嘆いている。私はこれに、事故時の避難訓練にしても形式的ではだめで、「失敗の経験」を積み重ねないのでは、いざという時のための能力は身につかないということも付け加えたいと考える。

こうしてみると、立派な基準や体制は出来たのだが、大事故を防ぎ、また万一起きた時の準備をしっかりやるための安全文化は出来ておらず、事故後5年で見えてきたものは、あいかわらず日本文化の欠点を引きずったまま再稼働に突き進んでいる我が国の姿だ。ただ、原子力委員がこのような文章を書くようになったのは進歩かも知れない。

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