日本エネルギー会議

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巨大組織は何故大事故を起こすのか(22)

シリーズ(8)では、組織が拡大することで経営判断にどのような影響を与えてきたかを見てきた。電力会社の場合、高度成長に合わせて設備を拡大し、新たに原子力部門を立ち上げたが、経営効率を上げるため部門ごとに子会社をつくりそこに現場業務をアウトソーシングした。このことは定年退職者の受け皿づくりや労働組合の結束にも好都合だった。続いて業務の中心は子会社の地元社員になり、さらに子会社の再請負先の地元企業が固定化し、子会社も管理業務中心となった。

一連のアウトソーシングにより電力会社は他に例を見ないほどの強固な企業集団を地元に形成した。反対派は完全に押さえ込まれ、原発に関して説得や説明の必要がない住民が多くなり、疑問や反対の意思を表示することが少なくなった。選挙公約で原発は触れられず、議会説明、住民説明も形骸化していた。

子会社、地元下請け企業という支持母体の出現は、電力会社に立地地域の安全に対する緊張感や、安全に関する地元自治体、住民への科学的、合理的説明を尽くす努力を省かせることにつながった。経営陣が政策判断を下す際、地元住民を気にしなくてはならないというブレーキの一つが甘くなっていた。

原発を地場産業として地元に根付かせることは必要なことだが、関係者は当事者と地元住民という二面性を持つことになる。かつての公害企業でもそうであったように、地域住民の生活の糧に関わるために解決策はなかなか見つからない。そこで次のような提案をしたい。

第一の提案は、電力会社と安全協定を締結しているのは主に立地自治体、隣接自治体であるが、この範囲を拡大し隣々接自治体も加えて安全協定を締結する。さらに原発から30キロ圏内にある市はすべて安全協定締結の対象とする。また、安全協定も紳士協定ではなく、法的根拠のあるものにし、内容を全国統一のものとする。

第二の提案は、自治体の原子力安全対策課のような原発の安全を監視する部門を強化する。担当する職員は専門化のため、極力移動させないようにするとともに、全国の自治体が利用出来る共通の教育システムを国が作る。

第三の提案は、地方議会にある原子力特別委員会は電力会社や原発との関連性のない者のみで構成する。

第四の提案は、県単位で原発に関するオンブズマン制度をつくり、メンバーは男女同数とする。

(つづく) 

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