日本エネルギー会議

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昨夜のクローズアップ現代

昨夜のNHKテレビ*クローズアップ現代*は「もんじゅ」を取り上げた。「もんじゅ」の過去から現在までを紹介し、日本原子力研究開発機構が原子力規制委員会から「運転管理をする資格を有してない」と烙印を押されたのはなぜか。そして「もんじゅ」から撤退することになればどのような影響が核燃料サイクルや原子力政策全般に及ぶのかという内容だった。30分番組では持て余すテーマの大きさだが、この問題の全体像を伝えることには成功していたと思う。

印象に残った場面は「もんじゅ」の事務所内で職員の働いている姿だった。彼らの表情は覇気がなく感じられ言わずもがなに職場の雰囲気が伝わってきた。「もんじゅ」が今日を迎えてしまった原因について人材問題が取り上げられたのは的を得ていた。OBの方が「もんじゅ」を国や電力会社がオールジャパンで支えようという雰囲気がなかったと述懐されていた。番組では、福島第一原発の事故で各電力会社に人的余裕がなくなり、「もんじゅ」への支援が細ったとしていたが、「もんじゅ」完成以来既に20年が経過しており、内部での人材育成や発電所文化の醸成を怠ってきたツケだったのではないか。

私が現役の頃、日本原電が電力会社からの支援窓口となり、建設事務所は一階が日本原電、二階は動燃であった。運転員育成に関しても、動燃の職員を原発で受
け入れて経験を積ませることに協力した。運転開始後も発電炉に経験のない動燃から運転員や放射線管理員など出向の要請が電事連に寄せられ、電力各社はまず日本原電に出向させてから動燃へ再出向する形を採っていた。これがいつまでも続いたため、電力各社は動燃の社員の出向を次第に渋るようになった。私は日本原電で人事を担当していたので両者の板挟みになっていた。

電力各社からの出向を要請してきたのは、六ケ所村で三点セットを進めてきた日本原燃も同じだ。ここは放射線事業所ではあるが、原発とは異なり化学工場のようなものだったので電力会社も人選に苦労したようだ。また、西日本からは遠い場所にあったため、出向に難色を示す人も多かった。日本原燃の場合、トップは東京電力、関西電力の出身者が多く、積極的に各電力会社をまわって要員確保に努めていた。また、地元青森出身者の採用、育成を積極的に行い地元企業化を進めていた。動燃が本社を東京に構えていたのに対して、日本原燃の社長が六ヶ所村にいたのも対照的だ。私が10年前に訪問した際に説明をしてくれたのは地元出身のプロパー一期生の若い部長だった。

発電所は安定して電気を出すのが使命であり、地元と一体感が必要なことなど発電所文化というものがある。しかし、「もんじゅ」の場合、研究機関の色合いが強く、評価も研究成果の方に重点があったようだ。事故で停止した際も、供給責任が身体に染み込んだ電力マンなら、まず復旧に向けてどうすればよいかを考え、貴重な研究材料だということは後回しのはずだがそうではなかったようだ。地元や監督官庁に対しても電力会社と動燃は目線が違うように感じた。このあたりは両方の経験をした電力会社の出向者は常に感じていたようだ。

「もんじゅ」は設計ミスによるナトリウム漏洩と対外対応の不手際、再開後の設備落下事故、相次ぐ点検漏れで悪印象を持たれたまま退路を絶たれそうだが、クローズアップ現代も「やらせ事件」が響いてまもなく番組がなくなるという噂がある。原子力の仲間内では、国谷キャスターは原子力問題になると暗い顔つきになるという人が多かったが、NHKが力を入れ、影響力の大きな番組であったことは確かだ。週刊誌のネタをぱくって表面を撫でるだけの番組、バラエティー調の番組が多いなかで、BSフジの「プライムニュース」とともにつっこみのある番組のひとつが消えるのであれば、テレビがまた薄っぺらなものになる。

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