日本エネルギー会議

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不正の温床(2)

(不正の裏に経理方の存在)
一昨日から、河野行革担当大臣が先頭に立って行政事業レビューが始まった。初日には原子力関連予算を取り上げ、実績がほとんどない使用済み核燃料運搬船などについて所管官庁に聞き取りが行われた。民主党政権時代の「仕分け」を思い出したが、いずれにしても会計検査院から「税金の無駄遣い」と指摘される前に行うことに意味がある。

民間企業の場合、国のように国債を発行してどんどん借金を膨らませ続けるわけにはいかず、毎年各部門の予算は経理方の厳しい査定に遭う。事業計画があっても予算がきちんと取れなければ仕事は出来ない。まして、期の途中での予算外ともなれば、決済権限が上位職に上がって担当部門は説明に四苦八苦する。経理方は現場を知らないから理詰めで削減を迫る傾向がある。実績のあるものは比較的通しやすいが、そうでないものは経理方に説明するにも苦労する。「いままで一度も使ったことがないから、その装置は不要なのではないか」などと短絡して考えがちだ。

原発でも不正な杭打ち工事に匹敵するような大問題を起した事例がある。それは1978年に起きた敦賀原発における放射性物質の海への流出である。原発上空に報道各社の取材ヘリが飛び交ったのはこれが最初だったと記憶する。

運転操作ミスにより濃縮廃液がタンクから床にオーバーフローし、それが建物の床と壁の隙間から地中に漏れ出して、地下に埋設されていたかつての雨水用の排水路のマンホールから排水管を通って海まで到達した事故だ。まずいことに漏洩は海藻の放射能測定をしていた県の機関に先に見つけられてしまった。この事故による漁業などへの風評被害は深刻であった。

当初、この放射性廃液の処理施設増設を計画した工事担当部門は、施設を造る場所の地下には今は使用していない排水路があり、万一のことを考えてこれを撤去し埋め立てた後に施設を建設しようと予算を計上したが、経理方の査定で撤去せずに建設することで予算が決まったことが事故原因の検証で明らかになった。

原発の分厚いコンクリート建屋でさえ電線管の周囲には細かい隙間が存在して水は漏洩することを前提に考える必要がある。施設増設前にマンホールを撤去して配管に盲蓋をしておけば万一漏洩してもそのまま海には流れなかった。予算申請側と査定側の攻防がしっかり行われ、さらに上層部がそのことをしっかり見届ける必要がある。担当部門は非合理的な査定、特に安全に関わることに対しては上告するなど徹底して闘う必要がある。それこそが安全文化だ。

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