日本エネルギー会議

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巨大組織は何故大事故を起こすのか(19)

本シリーズの(3)で、システム巨大化は企業間競争に勝つための経済性向上のためであり、大きくしたことで収支や社会に与える影響が増大。そのことで運転上のプレッシャーが発生することを書いた。安全最優先とは言うものの、経営上、稼働率を下げる長期停止だけは避けたいというのが組織構成員の共通した想いだ。監督官庁や自治体に報告する事象が明確に決められていないような事態では、判断に迷いが生ずる。

停止基準や報告基準について出来るだけ具体的に細かく決めておくことが現場の判断を迷わせないために必要であり、これを自治体にもあらかじめ伝えておいて状況を定期的に報告するように取り決めておくのも一方法である。これで自治体は監視の役目をある程度果たすことが出来る。情報公開するとなれば、担当者も緊張感を維持することが出来て一石二鳥だ。 

合議制でものを決めることを定めておくことも大切だ。所内にせよ本社の管理部門にせよ、少しでも多くの部門や人の判断が入るようにしておくこと。うまくいった例だけを挙げて、現場の独断先行を許すような雰囲気にしないことだ。例え結果オーライであったにせよ、報告連絡相談をしなかったことに対しては、厳しくしておくべきだ。「余人を持って変えがたし」などと長期間のポスト張り付けは、知らず知らずのうちに慣れや油断を呼ぶ。これは指名による請負契約などにも言えることだ。常に新しい目で見ること。白紙の状態で現状を見直すことが結局事故を未然に防ぐことにつながる。 

連続運転記録、無事故記録、稼働率目標などもこだわりやすく危険だ。一定の期間で記録はゼロにもどした方が良い。評価にあたっては、記録の誘惑に負けずに、止める勇気を持った責任者を評価するべきである。

現場のトップに人情家は向かない。少なくとも副官に冷徹な人材を当てておく必要がある。情に流されるような判断は結局大事故や致命傷になる。先の大戦で旧日本軍の将軍たちは部下に対する情けで決断を出来ずに大きな犠牲を出して敗れた。人情家は部下には評判が良いので、経営トップは現場のトップにさせる傾向がある。自分と気が会うものばかりを周囲に集めたがることにも注意が必要だ。

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