日本エネルギー会議

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ノーチラス号

団塊の世代が少年時代に見た「海底二万哩」は、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの古典SFの名作『海底二万里』の映像化したものだ。ネモ船長自ら開発したノーチラス号は外部からエネルギー補給を受けることなく、海に潜り続けながら各国艦船を体当たりで撃沈し、巨大イカとも格闘をするウォルト・ディズニーの空想科学映画を覚えている人も多いだろうだ。アメリカの原子力潜水艦第一号もこの船にちなんでノーチラス号と名付けられ、潜水したまま世界一周を目指した。

現在、わが国が使うエネルギーの多くは下図のように、石油(47パーセント)石炭(25パーセント)天然ガス(23パーセント)と輸入に依存している。電力化率は45パーセントで若干の上昇傾向にあるが、温暖化対策にもエネルギーのさらなる電力化が必要となっている。電力も海外産化石燃料に60パーセントを依存している。電力は通信、医療、公共交通、冷暖房、生産活動で欠かせないものとなっている。もし電力不足となれば人命にかかわるリスクが顕在化する。

主要国の一次エネルギー消費構成と自給率(2012年)

(海外電力調査会の資料より)

このような状況で、エネルギー安全保障を考えるのなら、課題は次の4点となる。
1,国産エネルギーの開発
2.化石燃料輸入先の多様化、安定化
3.備蓄と送電網、ガス輸送網の増強
4.省エネ、電力化、環境対策の推進 

一次エネルギーの半分を石油に依存していることをなんとかしないと、政府が言うように「ホルムズ海峡有事が即、わが国存立の危機」ということになる。
原子力は準国産エネルギーであり、燃料のウラン鉱石の輸入先は多様化、安定化出来ている。さらに燃料の備蓄も容易で、温暖化ガスも出さない。しかし福島第一原発の事故によって当面従来の半分程度の貢献しか期待出来ず、新増設もすぐには困難。となると原子力にエネルギー安全保障の期待を大きくかけることは現実的ではない。では国の政策として具体的にどうするか。
 
1.は太陽光発電以外の再生可能エネルギー、日本周辺の天然ガスやメタンハイドレードの開発を急ぐ。
2.は米シェールガスや石油、ロシア天然ガス、石油の輸入により中東依存を減らす。
3.は再生可能エネルギーの不安定性対策をするとともに、二酸化炭素排出が比較的少ないが備蓄に向かない天然ガスをどうするかを検討する。(天然ガスを水素に転換して貯蔵出来る可能性はある)
4.は電力化率のさらなる向上、特に輸送部門での電気自動車、水素自動車の開発普及を加速し石油の輸入を大幅に減らす。(化石燃料以外からの水素製造が必要) 環境対策として国内の石油焚き火力発電所の廃止と石炭火力発電所での二酸化炭素貯留の実用化に挑戦する。

上記の対策にしても、じっくり取り組むところと急いでやるところのメリハリをつける必要がある。対策がわが国のエネルギー安全保障に役立つだけでなく、技術開発によって国際競争力につながるように進めるべきである。官民挙げて1から4に対して人と金を集中すべきだ。とこのように整理したのだが、内容に事実と違ったところや誤った認識はないだろうか。

潔癖完全主義の日本人はエネルギー安全保障というと、極端な議論に陥りやすいから注意が必要だ。一億人の人口を抱え、広範囲な生産活動をしているわが国は、諸外国から資源や食糧を輸入し国際収支のバランスを取りながら最適なエネルギー確保を目指していくことが基本だ。外交努力の目的はここにある。

戦前、中国や満州の権益を手放すように求められたわが国は、アメリカの石油輸出禁止の制裁やABCD包囲網で資源を輸入出来なくなりインドネシアの油田確保に向かった。そして勝ち目もない太平洋戦争に突入した。戦後もキューバ、北朝鮮、イランなどが国際的な制裁を受けてきたが、彼らはしぶとく生き残っている。戦前のわが国のような頑なな考えでは、いくら備えをしたとしても長続きはしない。ノーチラス号は空想科学物語だということを忘れてはならない。

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