日本エネルギー会議

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村長の男気

私が4年半前に避難の途中でお世話になった川内村は放射線量が低く、福島第一原発のある双葉郡の中では最も早く避難指示解除となった自治体だ。

その川内村の現在の人口は事故前の半分程度。若い世代を中心に多くの村人が避難先に生活の基盤を移してしまい高齢化も一段と進んでいる。
村長は当時も今も遠藤雄幸氏だが、このほど自分の給与を来月から三ヶ月間50パーセントにすると表明した。理由は、村内で行った除染で出た廃棄物を村内の仮置きから大熊町双葉町に国が建設する中間貯蔵施設に3年以内に搬出すると村民に約束していたことが守れなかったためとしている。

汚染したのは東京電力の起こした事故のせいで、中間貯蔵施設の用地確保が進まないのは環境省のせいだ。にもかかわらず、遠藤村長は他に責任を転嫁せずに自ら痛みをともなう条例改正を行うという。

中央では2020年東京五輪・パラリンピック大会の競技場デザインの白紙撤回やエンブレムの盗作疑惑問題が起きている。数十億円の税金の無駄遣いが行われたが、担当大臣も組織委員長も事務局長も誰も責任をとらず、週刊誌で叩かれるだけで、いまだに高い報酬を受け続けている。遠藤村長の決断は国の上層部に対する無言の批判とも思えてしまう。

人口2千数百人の村では、首長と住民の間に距離はない。汚染土壌の仮置きについても地権者ひとりづつと直接の交渉を重ねてきたのだ。既に村長は復興予算確保のためとして、原発事故の4ヶ月後から給与を25パーセント減額している。今回さらに25パーセント減らす。「村長、そこまではやる必要がないよ」と言う村民もいるはずだが、村長としては村民ひとりひとりの顔が浮かぶのだろう。「自らけじめをつけたい」と言っている。

ついでながら、川内村ではお盆には、昔から故郷を離れた若者たちも戻って、村の野球場で「盆野球」という草野球大会が行われる。これも私には商業主義や国威発揚にまみれたオリンピックと対照的なアマチュアスポーツの原点のように思えて仕方がない。

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