日本エネルギー会議

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アベノコトバ

今日午前中、郡山市で開催された「特定廃棄物の埋立処分計画に係る説明会」の様子について書いておきたい。主催は環境省。会場は奥羽大学の講堂。富岡町民を対象に県内で4回開催させるうちの初回にあたる。会場に来た町民は70人程度。ちなみに富岡町の人口は15000人だ。環境省の他、復興庁、資源エネルギー庁の職員、それに富岡町から宮本町長らも出席した。

特定廃棄物とは双葉郡8町村の帰還後10年間の生活ゴミ、旧警戒区域で出た瓦礫などの廃棄物、下水汚泥など県内で出た指定廃棄物、合わせて65万トン(キロあたり10万ベクレル以下のもの)を指す。それを国が富岡町の南端(現在は指定解除準備区域)の空いている既設の民間産業廃棄物処分場に埋設したいと計画している。埋設が完了するまで10年間。その後も監視を続けるという。環境省は昨年この計画を富岡町民に説明したが、町民の多くから異論が続出した。今回は、その時の意見や要望を踏まえての見直し案の説明だ。

環境省は、配布資料として前回にいただいたご意見として次の6点を挙げて答えを載せている。
1.富岡町の中でも線量の低い場所にわざわざ処分場をつくらなくてもいいのではないか。
2.放射性物質の溶出、雨水浸透などの恐れに対して対策を充実し、監視についても住民が参加できるように。
3.この件で安全協定を締結すべき。
4.民間業者では心配なので処分場を国有化すべき。
5.運搬における放射性物質の飛散防止や安全確保を。
6.地域振興策の提示を。

一番町民の要望が強いのが1の立地問題だが、資料にはその答えを次のように書いてあった。
○ご意見を踏まえて実現の可能性について改めて検討した。
○新たな建設には広大な土地確保が必要。
○適地検討、地権者との交渉、測量・地質調査、環境影響調査、施設設計、建設などに長期間を要する。
○以上を踏まえると、新たな建設は困難であり、既存の処分場を活用することが県の復興を進めるうえで極めて重要。

1年間、検討した結果と言いながら、その検討プロセス、データ、判断材料などは一切示さないで結論だけ以前のままなのだ。環境省職員の説明も書いてあるとおりを読むだけだった。結局、すでに環境大臣が発表している「処分場の国営化」と「自由に使える交付金」だけがおみやげだ。

「真摯に対応」「住民の意見に耳を傾ける」「丁寧な説明」などと環境省の室長は冒頭の挨拶で口にしたが、そうであれば中身のない資料や逃げ腰の説明はどういうことなのか。町民からは「1年間何を検討してきたかまったく見えない」「なぜそのような結論になるのかを聞きに来たのに」「説明を受ける側の気持ちになって資料を作り説明すべき」「説明会はアリバイつくりか」「減容努力はしたのか」など厳しい批判が出た。ことある毎に「丁寧な説明を」という安倍首相のコトバを思い出した。これはアベノミクスではなく、アベノコトバだ。もっと正面から町民に向き合わねば納得は得られないだろう。「住民をばかにしている」と発言したら、そのまま翌日の河北新報に出てしまった。

今日の説明資料や説明内容はどのように作られたのだろうか。「どうせ細かいデータを示し、プロセスを説明しても、一般の人には理解出来ないし、反対ありきで来る人には説明しても無駄だ」と割り切ったのだろうか。それは事故前に国や電力会社が原発についてやっていた行動と同じだ。
この問題を住民投票にかけることを約束せよと宮本町長に迫る町民もいたが、予想通り町長は明言を避けた。

「女性はもしも健康被害が出たらどうするのかと考えてしまう。国の言うことは信用出来ない」「漏洩について万一の対策をしていると言っているが、原発でもそのようなことを言って安全だとしていた。それと同じだ」と避難者としての経験が明らかにトラウマとなっていると思われる町民の発言もあった。これに対して、環境省側が年間1ミリシーベルト以下であるから安全だと、あいかわらず「1ミリシーベルト」追認発言をしていたのも気になった。

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