日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

デジャビュ

デジャビュとはデジャブーとも言い、フランス語で一度も経験したことがないのに、すでにどこかで経験したことがあるように感じることを指す。

福島第一原発事故の巨額の賠償は県内の建設ブームを起こし、未曾有のバブル状態となっている。一世帯1億円にも上る賠償金は人々の生活を一変させ、賠償を受けた県民と受けられなかった県民の分断をもたらしている。その賠償金の原資は東京など関東地方の電力消費者によって購われている。原子力損害賠償・廃炉等支援機には国が出資しており、その原資は国民の税金だ。

こうした負担は一世帯当たり、あるいは一人あたり数十円から数百円で毎月の負担はコーヒー1杯程度で、人にもよるが一般的にはひどい痛みを感じるものではない。要は広く薄く集めて大きな金額にしたものを、狭い地域に集中的に落とすという手法だ。それは私にとって一種のデジャビュだった。

原発事故の前から存在している電源三法交付金制度により、毎月数百円の税金が消費者から電気料金とともに集められ、それが巨額な財源となり原子力の研究に当てられたり、地元対策としての交付金として自治体に配られたりしている。これも広く薄く集めて大きな金額になったものを、狭い地域に落とすという手法だ。特に建設時は巨額の交付金が人口の少ない立地自治体に交付され、漁業補償などとともに地域に建設ブームとバブルをもたらした。その恩恵にばらつきがある場合は、集落内や身内で骨肉の争いになったのも似ている。

田中角栄内閣が作ったこの制度を真似て基地交付金制度も作られている。もっとも、基地交付金の場合はそのスケールが小さく、原発など電源開発に対する巨額の交付金とは比べようもない。高レベル放射性廃棄物の処分場探しについても、「文献調査をするだけで何億円が地元自治体に落ちる」という制度になっているが、これも類似の手法だろう。反対派は常々「札束で顔をひっぱたくようなやり方」と批判してきたが、「一度でいいから札束で顔をひっぱたかれたい」と思う人もいるのも事実だ。

この手法の第一の問題点は消費者や納税者が原発や廃棄物を引き受けた自治体の住民の本当の痛みを知らないまま、さらには自分たちの経済的負担をあまり感じないままに負担をしていることだ。第二の問題的としては、原発や廃棄物の危険性などについての国や電力会社の説明が疎かになり、地元住民もそれに寛容になりがちなことだ。第三の問題点は大金が動くために、利権が発生しやすく、金の使い方が荒くなり、モラルが低下しがちなことだ。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康