日本エネルギー会議

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罪と罰

福島第一原発の汚染水漏れはあるときはタンクから、またあるときは移送用のホースからと何回も繰り返された。沿岸での本格操業を待望する漁業組合も、その都度出鼻をくじかれている。原子力規制委員会の田中委員長がこの件に関して、「(リスクを知りながら対応していなかったことへの)罪は重い。東京電力の水処理に対するマネジメントがきちんとできていない」と厳しく批判したと報道されている。

「罪は重い」を読んで、とっさにドストエフスキーの罪と罰を思い出し、それでは罰があるのかと聞きたくなった。いままで福島第一原発の事故について東京電力の首脳陣を起訴しようとする動きがあったが、検察は今まで二回にわたって不起訴を決めている。福島第一原発は全機廃炉が決まってしまったためか運転停止などの処分は下されていない。

原子力安全委員会の委員や原子力安全・保安院のメンバーは誰も訴えられていない。チェルノブイリでは設計者が処罰されたという話を聞いているが、津波に脆弱な位置に福島第一原発を設置した責任は誰に対しても問われてはいない。ただ、原子力安全委員会と原子力安全・保安院は廃止された。東京電力では首脳陣が全員交代、外部から会長を迎えた。

今回の汚染水漏れの件でも、原子力規制委員会は東京電力に対して監視強化などの指示を出しただけで、「罪は重い」という言葉に見合う罰はなさそうだ。

原子力規制委員会は当初から汚染水管理のやり方についてヒヤリングをしていろいろと注文をつけてきたが、今もって管理が不十分であることに対して、東京電力だけに罪を被せただけで自らの監督責任は口にしておらず、メディアもこの点を追求していない。

1981年に敦賀原発1号機から汚染水が敦賀湾に流出した事故では、当時の通産省は日本原電に対して敦賀原発1号機の運転を1年間停止するよう命令を出した。(もっとも、原電はちょうど1年かけて現場を改修し、1年後に検査に合格して再稼働するという離れ業をやってのけ、停止処分はなんら罰としては意味をなさなかった)その頃から、規制当局は罪と罰をもっぱら電力会社に被せ、自らは閻魔大王のように振舞ってきた。

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