日本エネルギー会議

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多重防護は原子炉だけか

昨日、福島第一原子力発電所の側溝に設置されたホースから、放射性物質を含む汚染水が漏れたとのニュースが流れた。現場作業員がホースから水が漏れているのを発見し、確認したらホースに1センチほどの穴が開いていたという。

水が流れた先の側溝は外洋に通じる排水路につながっていたが、排水路の途中でポンプにより汲み上げられて汚染水は外洋へは行かず、港湾内に流れ込んだようだ。排水路では測定値が1リットル当たり1200~1400ベクレルに上昇した。この流出は二、三日前からあった可能性がある。マスコミの扱いもやや慣れっこだ。

以前もホースや接続部からの汚染水の漏洩があったが、こうした移送には漏洩がつきものだ。パイプでもそうだが、ましてホースなどを使用すれば漏洩が一定の確率で起きることを覚悟しなければならない。ホースは使用する前とその後定期的に耐圧テストをするのが常識だと思うのだが、福島第一原発の廃炉現場は常識が通用しないところなのか。福島第一原発の現場映像を見たことがあるが、仮設の配管やホースは直接地面に置かれており、漏洩すれば即地下に浸透するような状況であることが多い。そのような状況で汚染水を流せば、1つのミスで汚染水が外部に出てしまう。であれば、ホースでなく配管にするか、万一に備えてホースの通るところや配管継手や弁の部分には受け皿や堰を設けておく必要があるだろう。

廃炉現場では、ホースの穴一つで簡単に汚染水が環境に出てしまうことを何とも思わないのか。漁業組合に対して組み上げた地下水の海洋放出の説得に手こずっている現場がこのような管理というのは理解しがたい。これこそ安全文化の欠如であり、原子力規制委員会も原子力推進協会も東電社内の安全文化を云々する委員会も、これまで何も言わなかったのであれば、その現場感覚と指導力が疑われてもしかたがない。原子炉安全のための多重防護は相当厳重になったようだが、野丁場だからといって、高濃度の汚染水をそれほど安易に扱うようでは住民からは信頼されまい。

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