日本エネルギー会議

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賠償打ち切りの理由

政府・自民党は福島第一原発の事故の賠償のうち、精神的損害に対する賠償について、事故から7年が経過する2018年3月で打ち切りとする方向で検討を始めた。区域指定解除の時から1年間は賠償の支払いをするとの方針が打ち出されていることから考えると、区域指定解除は2017年4月1日となる。 

解除されるのは避難指示解除準備区域(対象者3万2千人)、居住制限区域(対象者2万3千人)であり、帰還困難区域(対象者2万4千人)が解除されるのはその先だ。帰還困難区域の住民に対しては、すでに事故から約10年分の1450万円(1人当たり)を先行して支払っており、今から5年以内に帰還困難区域が解除されれば追加賠償問題は起こらない。

政府・自民党がなぜ避難や賠償について、今の時点で打ち切りを持ち出したのか。それにはいくつかの理由が考えられる。

・賠償が帰還の気持ちを失わせている面がある。賠償と避難を切り離して、除染後に帰還か移住かの判断を住民に迫る必要がある。

・避難している人に月10万円の賠償を払い続ければ、精神的損害の賠償総額が1兆円を超え巨額になる。避難が数年にも及んだため、大家族の世帯では既に数千万円を受け取っており、すでに解除され賠償を打ち切られた町村の住民から、解除されない区域の住民が賠償を受け続けていることに対する批判がある。

・期限を設けることで、土地や家屋の賠償や精神的損害賠償により、避難先に住居を新築するなど安定した暮らしをしている人たちが住民票をそのままにしても賠償を打ち切ることが出来る。(現在までは住民票を異動した人にも支払われているが)

・賠償額が巨額になっており、これ以上の賠償は負担する側を納得させることが出来ない。政府の賠償のやり方に批判が起きる恐れがある。

・賠償打ち切りに際しては抵抗が予想されるが、政府としてこれに先手を打っておきたい。

今回の方針により、既に帰還して賠償打ち切りとなっている住民に2018年3月までを追加で支払うかは微妙な問題である。福島第一原発の事故では、精神的損害の賠償だけでも既に約1兆円が支払われている。避難当初から比べれば落ち着いた生活になっているので月10万円は大きすぎるといった声に対して、避難が長引くほど精神的には追い詰められるとの意見もある。給与所得者はもちろんのこと、受け取っている年金受給額が月6万円の年金生活者にとって月10万円は大きな金額だ。精神的損害については、当初から悩ましい問題であったが、避難が長引くことでますます難しい問題になってしまった。

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