日本エネルギー会議

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記録が語る現場の問題点(6)

福島第一原発の事故現場で恐怖と戦いながら危機的状況を乗り切った福島原発所員の行動記録がある。それは原発事故を防ぐための、また適切な対応を考えるうえの貴重な資料でもある。読んでいくと、所員たちが何に対して、どのように困ったかが端的に伝わってくる。青字は記録、黒字はそれを読んで考えた私なりの指摘である。

【モニタリングカーによる測定】
・発電所対策本部では、敷地境界の放射線量を測定するモニタリングポストの監視が出来なくなったことから、保安班長はモニタリングカーの出動を指示。11 日16:30、保安班はモニタリングカーで出発した。
・発電所から避難する人の車で渋滞している中を進み、体育館付近に到着。11日17:00、放射線量の測定を行ったところ、47nSv/h(通常レベルの値)が計測された。
・その後、構内を移動して、モニタリングポスト付近など複数のポイントで計測を行い、放射線量が通常レベルであることを確認した。11 日19:45 以降は、正門付近に停車して定点観測を行うこととし、γ 線の他,中性子線や風向、風速のデータ採取を行った。約10分毎に計測、記録し、測定結果を無線で発電所対策本部へ連絡した。

指摘事項11
1.
モニタリングポスト計測不能の原因調査をして、その対策が必要である。
2.
モニタリングカー出動が遅れた原因調査をして、その対策が必要である。
3.
バスや乗り合わせなど、避難する人や帰宅する人の車の混雑対策をする必要がある。通行を優先すべき緊急車両用の警報ランプなども必要。
4.
放射線管理関係の人数が不足した時に備えて、子会社、協力会社の協力体制を構築しておく必要がある。

【消防隊による避難誘導、津波監視】
・地震発生後、消防隊は予め決められている免震重要棟1階の部屋に自発的に集まり、消防服に着替えて待機していた。
・津波が繰り返し襲来する中、消防隊は汐見坂(海側につながる坂道の道路)を上がった五差路で、避難してくる人の免震重要棟への誘導や、海側に行こうとする人や車の規制を実施。地震発生時に現場に私物などを置いたまま避難して取りに行こうとする人もいたが、津波が押し寄せる状況がその位置から確認されていたことから全員を止めた。
・11 日16:46 に運用補助建屋脇で火災らしきものが発生したとの情報が入ったことから、消防隊2 名は保安班他4 名とともに現場に向かった。状況を確認したところ、火災らしきものは水煙であることが判明した。この時、運用補助建屋の屋上に避難して下りられない運転員を発見し、発電所対策本部と中央制御室に連絡した。同行した保安班による測定の結果、現場の放射線量は通常と変わらないレベルであった。運用補助建屋の屋上にいた運転員については、その後、運転員5 名が現地に向かい、18:22 に救出した。
・ 11 日18:00、消防隊は津波の監視を行うよう発電所長から指示を受けた。海沿いの高台にある研修棟の付近で2~3 時間交替で津波の監視を実施。真っ暗になってからは、業務車のライトで海側を照らしながら監視を継続。12 日未明、1 号機ベント実施の連絡が入り、免震重要棟に避難した。

指摘事項12
1.
消防隊の装備のなかにゴムボートやライフジャケット、浮き輪など水難対策を加える必要がある。
2.
電源喪失の場合、消火栓の圧力維持は出来るか確認が必要である。
3.
津波に備えて消防車などの常駐場所を見直す必要がある。
4.
交通規制用用具や看板、高所からの避難用の用具を準備する、それを使う訓練を行っておく必要がある。
5.
夜間監視作業のためのサーチライトおよび電源を準備する必要がある。
6.
消防隊の編成(社員、子会社社員、請負)、装備、役割と訓練内容などを見直す必要がある。
7.
事故対応の長期化に備えて予備隊を編成し、交代出来るようにする必要がある。

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