日本エネルギー会議

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はた迷惑なこと

福島県内で除染が進んでいるが、除染による汚染土を30年間にわたって貯蔵する中間貯蔵施設の建設受け入れを、内堀知事、渡辺大熊町長、伊沢双葉町長らが昨日県庁で望月環境大臣に表明。これによりまだ多くの地権者との交渉は残されているものの、来月中に各仮置き場からの汚染土の中間貯蔵施設への搬入がスタートすることとなった。国はもちろんのこと、県内各自治体や住民は仮置きしている汚染土を入れた袋の山がなくなる目処がついて安堵している。

しかし、大熊町の隣町である富岡町に自宅のある私にはどうにも釈然としないことがある。県の南部で発生した汚染土を入れた袋はダンプカーに載せられ、富岡町内の国道や県道、あるいは町道を通って中間貯蔵施設に搬入される。県の北部のものは浪江町、県の西部のものは川内村や田村市都路地区を通過する。その数は一日当たりダンプカー1500台と言われている。輸送に伴う、粉塵、騒音、振動、排気ガス、それに交通渋滞、交通事故などの問題があるはずだ。今回、富岡町などには一切説明もなく、了解を取ることもなしに知事は受け入れを承諾したが、通過自治体やその住民に一言挨拶があってよいのではないか。

これに似たようなことが、東京電力福島第一原発の建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた水を浄化後に海洋放出する計画でも見られる。東京電力はもっぱら県漁連など漁業者への説明を繰り返し、計画の受け入れを迫っているが、果たして海は漁業者だけのものだろうか。

富岡町にも小さな浜はあったが、事故の前は、夏になると隣の大熊町の熊川河口の海水浴場に孫たちを連れて行ったものだ。また、アマチュアの釣り愛好者の間では、自宅の近くの海岸は海釣りの隠れたスポットとして有名で、釣りの雑誌にも掲載されたことがある。東京電力はあまりにも漁業権にこだわり過ぎではないか。海洋放出は海水浴場や民宿の関係者も大いに関心があるはずだ。 

メディアは盛んに東京電力と漁業者の駆け引きを取り上げるが、東京電力から海洋放出について環境省や県の生活環境部あるいは海に面した町に対してどのような説明がされているか、住民の反応はどうかなどは、ほとんど報じられていない。

原発再稼働についても避難計画を策定しなければならない30キロ圏の自治体から電力会社に対して安全協定の締結を求めたり、国に対して意見を言う場をつくるよう要求したりする動きがある。はた迷惑なことをどこまで説明するか、どの程度意見を聞くか、いままで最小限で済まそうとしていた国や電力会社はこれを考え直す時ではないか。

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