日本エネルギー会議

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不動産賠償と消費増税

福島第一原発の事故で家を残して避難した人に対して、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の出した指針により、経産業省の指導のもと、東京電力が土地や家の事故当時の評価額に基づく賠償を行っている。賠償が始まって1年以上経つが、すでに大熊町で25パーセント、双葉町では27パーセントの世帯が、賠償金で避難先などに自宅を新築したり、中古の住宅を取得したりしたとの情報がある。 

しかし、避難先のいわき市や郡山市の地価が双葉郡の地価より高いことや復興景気で建設費が高騰していることにより、賠償の金額では都市部の避難先では住宅を持つことができないとの苦情が不動産の賠償を受け取った人たちから出されたため、審査会では指針の第4次追補で、実際に住宅の購入をする避難者に対しては、賠償額に最大二倍程度の上乗せをすることを決めた。東京電力はこれにしたがって昨年の4月30日より、不動産の賠償対象者に対して個別に上乗せする金額を提示しはじめた。従来、賠償には手数料や税金は一切含まれないものとしていたが、今回は不動産仲介手数料や消費税(8パーセント)なども上乗せすることにした。これには既に住宅を購入した人たちから、不公平であるとの苦情が出ているが、東京電力は既購入者に対しては、必要な増築、リフォームをした場合には、この上乗せを適用すると回答している。

この動きとは別に、復興庁は昨年の4月1日より「住まいの復興給付金」制度を発足させている。これによれば、避難者が新たに住宅を取得した場合、消費税が5パーセントから8パーセントに上がった分、すなわち消費税のうち3パーセント分を国が支給することにして、各自治体で受付をするというもの。先の東京電力の賠償の消費税8パーセントと重複しても支給するとしている。たかが3パーセントではあるが、対象が不動産だけに数十万円になる。

復興庁の窓口に、両方から消費税の増税分をもらうことになるがおかしいのでは、と問い合わせたところ、東京電力の賠償とは「主旨が違う」と、まったく理解に苦しむ回答を繰り返すばかり。一方、東京電力福島原子力補償相談室では、そのようなことになっているようですが、第4次追補にしたがったまでで、こちらとしては、あくまで消費税分8パーセントで賠償しますとのこと。

中古の家を購入して、市役所に手続きに行った避難者仲間は、市役所の係から「住まいの復興給付金」も受けられますからと言われ、申請用紙をもらってきたと大喜びだ。昨年の4月1日以前に住宅を購入した人は、なんともやりきれない不公平さを感じている。東京電力の顧客や復興税を払った全国の納税者が、もし、この事実を知ればどう思うだろうか。

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