日本エネルギー会議

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原発頼みの電力会社

関西電力、九州電力、北海道電力など原発比率の高い電力会社は、福島第一原発の事故で原発が停止して以降赤字に陥っており、なんとか原発を再稼動させて収支の改善を図ろうとしている。東京電力の来期以降の黒字継続も柏崎刈羽原発の再稼動が条件だ。

2000年に始まった電力小売りの自由化が、いよいよ2016年には家庭用の50キロワット未満の低圧電力にも拡大して新電力も小売が出来るようになると、そこにソフトバンクや東京ガス、石油元売り、あるいはJAなど200社以上が参入してくると見られている。そうなると、光通信や携帯電話、あるいはガスなどと電気のセット販売もあり得る。9電力も対抗策を考えていて、東京電力が通信会社との全国レベルの販売提携を模索しているとの報道もある。今年の電力業界は生き残りをかけた戦国時代の始まりになりそうだ。

新電力は今、自治体の持つ水力発電所や企業の持つ自家発の火力などからの電力を買い漁るなど供給電源の確保に懸命だ。9電力はかつての通信自由化後のNTTのように、顧客を新電力に徐々に取られそうだ。

家庭用のソーラーの価格は年々下がって最安値では国内でもキロワットあたり23~24円と9電力の販売価格と変わらないレベルに近づいている。こうなると電気を電力会社に売るのではなく自家消費するためにソーラーを屋根に載せることになる。都市ガスで電気と温水を供給出来るエネファームもコストダウンでかなりの勢いで伸びている。完全なオフグリッドにはならないが、家庭の電気は概ね自給するという人が徐々に増えるだろう。

このところいくつかの自治体で、地域の電力自給率を高めようとする動きがある。既に県庁や学校などで使う電力の9割を新電力から買っている神奈川県では、黒岩知事のリーダーシップで県内の電力自給率を2020年度には25パーセント、2030年度には45パーセントまで上げようとする野心的な計画がスタートしている。その手段としては1割の節電と再生可能エネルギー、コジェネということだ。9電力はどのくらい顧客をつなぎとめることが出来るのだろうか。

これまでの実績では9電力が販売量から見ると6割を占める既自由化部門であまり利益を出せず、一般家庭用など規制部門における利益に頼っているといういびつな収益構造になっているため、既自由化部門で利益を出せるようにしない限り9電力の経営はいずれ破綻する。最近、東京電力と中部電力が火力発電で手を組む動きが出てきたが、電力自由化の風が吹いたこの10年、9電力は既自由化部門で利益を挙げるための取り組みは進まなかった。

9電力の頼みの綱は、先人が残してくれた火力・水力などの発電所、送電網、そして国策に従ってきた原発という財産だ。送電網は重複投資を避けるために、現在9電力が所有しているものを使うしかない。送電網に関しては新電力に応分の負担を求めることが可能だ。

原発はエネルギー安全保障と温暖化対策のため、国が導入しようとしている価格保証制度の下に保護される可能性が大きい。原発は障壁が高く新電力の参入の心配はない。9電力は原発の再稼働がなかなか進まないことで赤字に陥ったが、最後は他電源と競争のない原発が頼りになる。ただし、この部分でも原発を9電力から切り離して原電に集める案もあるようなので、9電力が最終的に原発に依存できるかはまだわからない

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