日本エネルギー会議

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避難者12万人は本当か

福島第一原発の事故から4年。いまだに12万人が避難を続けていると言われている。政府も野党もそればかりだが、果たして実態はどうなのだろう。確かに統計上はそのように見えるし、区域解除をしたところでも住民の帰還は遅々として進んでいない。いままで区域解除されたところは比較的人口が少ないため、帰還したとしてもその数はしれている。仕事の関係で、週末だけの帰還という人もいる。

最近、町の大半が帰還困難区域となっている大熊町と双葉町の住民の約4分の1が、県内外に家を買って移住している、また避難者が福島県内や首都圏などで土地や住宅を買ったケースが累計で3800件にのぼっているとの報道がある。その傾向は2012年から2013年にかけての「不動産・財物賠償」と2014年に行われた「移住先確保を前提とした賠償の上積み」によって加速している。

後者は賠償算定基準によって算出された不動産・財物賠償額では、地価の高い郡山市など都市部では、家が買えないという避難者の不満に応え、原子力災害賠償紛争審査会が追補として出した指針に基づいて東電が行った特別の措置である。これによって都市部の土地、家屋だけでなく不動産売買仲介手数料、消費税などの諸費用も支払われることになり、賠償額は大きく膨らんで避難先などでの家の取得意欲が一層掻き立てられた。すでにいわき市、郡山市などでは土地や中古の家の物件が払底し、価格も上昇している。

家を手に入れた人は、仮設住宅(無料)や借り上げ住宅(県が家賃を月6万円まで負担)から移転したあとも、移転先の自治体には住民票を移さず、元の双葉郡の町村に住民票を残したままにしている。理由は住民票を移すことで避難終了とされ、避難者が受けているさまざまな特別措置(健康保険税・自己負担の免除、高速道路通行料の免除、住民税の徴収猶予)の対象から外されることや、これからの精神的損害賠償が打ち切られることを警戒してのことだ。中には新居に移ったにもかかわらず、借り上げ住宅を返還しない剛の者もいる。

国や自治体はこうした家を購入して実質的に移住を決めた人々の数を把握しておらず、避難者の数には反映出来ていない。また、自主避難で県内各地から県外に避難した人が、県内に帰還しつつあるがこれについても十分に把握が出来ない状況だ。東電は「移住先確保を前提とした賠償の上積み」で賠償をした人について把握しているが、単に不動産業者の領収書や住宅メーカーの見積書だけで賠償金を支払っており、不動産登記までは求めていない。また、賠償に関する個人情報については原則、外部流出はないとしている。

過去に、避難後に県外の人と結婚した女性が住民票を移し、東電から精神的損害賠償を打ち切られて問題となったが、どのような状態になることをもって避難者から外すか、その場合、賠償や特別措置をどのようにするかは、今後、大きな問題となりそうだ。

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