日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

まぶしい存在

福島第一原発の事故後三年半が経過。福島県の浜通り地域では除染や避難区域の解除が進み、産業の復興が行われている。事故当時、富岡町に暮らしていた私がかつて一次避難をした川内村(宮沢大臣、ここはカワウチ村と読みます)は、人口2751人。富岡町の西方に位置し、村の中心にある役場は第一原発からちょうど20キロメートルの距離にある。面積は2千キロ平方メートル、木の枝に卵を産み付ける天然記念物モリアオガエルが生息する平伏沼がある。 

山間の盆地で運よく放射能雲は上空を通過したため、村のほとんどが汚染レベルが低く、区域指定解除が早く、2012年4月に村の一部を除き帰還を開始している。

山また山で、田畑も少なく産業としては林業、建設業が多く村民の多くは富岡町や大熊町の原発関連企業に通勤していた。高校、病院なども富岡町など原発立地自治体に依存していた。事故後、富岡町などが無人となったために、村民約400名が職場を失い、これに代わる雇用先がないと住民が戻れないことになった。現在でも、住民登録2751人のうち、戻って暮らしている住民は半分程度、まだ仮設住宅を返していない人も含まれる。

この村に今、続々と企業が進出している。村と青果物卸業者の株式会社まつのが共同出資した農業法人が運営野菜工場「川内高原農産物栽培工場」は、発光ダイオード(LED)と蛍光灯を照明による人工光型水耕栽培をする完全密封型野菜工場を建設した。これなら放射能の風評被害も免れる。当面10人ほどの従業員を村内で雇用し、将来的には25人体制にする予定だ。

大手電機メーカーのシャープは、福島復興支援の一環として、川内村で元農地に約1万枚の太陽光パネルを設置する出力2・6メガワットの大規模施設を建設している。来年10月に商業運転を開始する予定で、村は今後20年間で2億円以上の収入増を見込んでいる。幸い東北電力との接続問題もクリアーしているようだ。

蓄光タイル製造のコドモエナジーは、村内に建材工場を完成させた。雇用は工場長を含めて8人で、村内と近隣から採用。工場建設費7億円弱は福島県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」と川内村の「かわうち震災復興企業立地補助金」でまかなった。このほか、東京の金属加工会社、北海道の家具製造会社、放射能除染事業が進出している。

新たに工業団地も村内に造成する計画もある。ただ、すべてハッピーというわけではない。募集をしても思うように人が集まらない、高齢者が多いなどの問題もあるようだが、遠藤雄幸村長のリーダーシップや役場スタッフのがんばりもあって、福島第一原発の事故以前にもなかった新しい風が吹いている。まだ、区域解除の見通しも定かではない富岡町、大熊町、双葉町などから見ると、いち早く復興に取り組んでいる川内村は実にまぶしい存在だ。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康