日本エネルギー会議

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しっぺ返し

東日本大震災では、人々は地震と津波の脅威に直面し、どんなに人間が頑張っても大自然の力の前には、なすすべがないことを実感した。しかし、それから三年の間には、探査船イトカワや中山教授のiPS細胞などのニュースもあり、科学技術を武器に果てしなく遠い宇宙からの帰還、人間が自然界にないものまでを作り出し、病気の治療を前進させていることが感動を与えたのである。

産業革命以来、人が好奇心により、あるいは必要に迫られて発見、発明したものは次第に大掛かりなものとなっている。自転車程度であれば、人が制止できるが、自動車になれば人の力で制止出来ない。ジャンボジェットが墜落すれば一瞬にして何百人もの人が死ぬという途方もないことになる。もっとも端的な例は原子爆弾であるが、最近驚くべき進化を遂げているITやバイオテクノロジーにしてもその利便さに対して情報漏えい、生命倫理など影の部分がついてまわる。

近年、科学技術で成し得ることがどんどん拡大するにつれ、人はそのうち恐ろしい「しっぺ返し」がくるのではないかと心配するようになった。ハリウッド映画でもバイオハザードなどに代表される科学技術が人間に復習する題材が取り上げられることが増えている。化石燃料を大量に燃やすことで、二酸化炭素を排出し、それが原因となって地球温暖化が進行し、かつてない異常気象につながっていくことを科学者が発表し、それは人々の共通認識になった。現在の人々のための便益が将来の世代への負の遺産になることを避けるべきであるとの考え方も広まっている。

こうした中で起きた福島第一原発の事故は、「原子力は人が安全に扱える範囲を超えている科学技術である」「放射性廃棄物を生み出すことは子孫のためによくないこと」の実例ではないかと考える人々を増やした。放射線被曝や放射能汚染に対する異常なまでの警戒感は、放射線の人体に及ぼす影響についての理解不足から生じているが、その背景には、大自然が見せた圧倒的な力と、どこまでも拡大を止めない科学技術利用の「しっぺ返し」を心配する心理が働いていると思われる。

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