日本エネルギー会議

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不可解な選挙

不可解な選挙だった。26日に行われた東日本大震災と福島第一原発の事故後初となる福島県知事選のことだ。結果は元副知事の内堀氏が大差で初当選したが、投票率は過去二番目に低い45.85%。開票前に、いや立候補締切直後に結果が判った選挙で、当選の会見での内堀新知事のなんとなく醒めた表情が、激しい選挙戦を戦い抜いての末の勝利でなかったことを表していた。

6人の候補者が立ったが、一応の知名度と行政経験があったのは佐藤県政の継承と発展を掲げた内堀氏と元岩手県宮古市長の熊坂氏、元双葉町町の井戸川氏の3名で、中でも内堀氏が自民、公明、民主の支持を取り付けたため、組織票と無党派層で圧勝すると思われ、次点の熊坂氏の健闘が意外に思えたほどだ。

全候補が県内の全原発廃炉を掲げたため原発は争点にならず、復興と原発災害の対応が争点となったが、これまで3年間の国や市町村との折衝経験を持つ元副知事に委ねることが県民にとって最も安全な選択肢であった。前知事の下した「中間貯蔵施設受け入れ」も多くの県民に評価されたので、この点も無風であった。

各候補の政策で数字となったのは、県内の原発ゼロだけであり、他の政策はすべて形容詞を連ねたものであり、当選後の具体的な約束はいずれの候補も出さなかった。選挙公約としては、「所得倍増」や「待機児童ゼロ」があるが、復興住宅の完成や除染による区域解除時期、人口減少の歯止め、健康管理の徹底なども具体的なものは示されなかったため、すべては選ばれた知事にお任せになってしまった。候補者全員による政策討論会なども行われず、テレビや新聞でもそのような企画はなかった。

これまでの実績から判断する知事としての能力、人柄、考え方を知って、誰に投票するかを決めるのも一つの方法だが、政策目標やそれを達成するための道筋をどうするかも大事な判断要素ではないか。民主党政権のマニュフェストに懲りたのか、政策について具体的なものは一切なしで選挙が行われ、それを有権者もメディアも疑問に思わなかったのは不可解だ。

福島県知事選開票最終結果 
490,384 内堀 雅雄 無新(当)
129,455 熊坂 義裕 無新 
 29,763 井戸川克隆 無新 
 25,516 金子 芳尚 無新 
 24,669 伊関 明子 無新 
 17,669 五十嵐義隆 無新 

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