日本エネルギー会議

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不穏な時代と原子力

9.11のツインタワービル爆破により、不穏な時代の幕が開き、それ以降世界中でアメリカと同盟国によるテロとの戦いが繰り広げられている。さらに中東情勢、ウクライナ情勢、シリア情勢は解決の糸口が見つからず、核兵器の拡散も進み、かつてのノーベル平和賞受賞者が頭を抱える事態に戻っている。

中国やロシアも国内に民族問題を抱えつつ、対外的には領土問題に熱心だ。テロの温床には宗教的対立、苛烈な市場競争による格差拡大などが指摘されている。最近ではイスラム国というとんでもないものまで出現した。温暖化の影響で自然災害が大型化し、特に都市化で一度に多くの被災者が出る傾向にある。東西冷戦時代と比べても、現在の世界は安定性に欠ける「不穏な時代」となっている。

原子力推進にとっても「不穏な時代」への変化は、明らかに逆風だ。テロリストたちが核を入手する可能性は日に日に高まっている。原発をはじめ原子力施設は格好のテロの標的になる。また、これらの施設や技術者は人質になりやすい。こうした中、ロシア、フランス、中国、韓国、日本の原子力産業は途上国、なかでも中東地域に原発を輸出しようと国を後ろ盾に猛烈な競争をしている。安倍総理の途上国訪問のニュースには必ずといっていいほど原発輸出がついてまわる。

かつて原発を建設し、運転するには、その国が自動車の生産が出来る程度の工業力を持っていることが条件とされていた。また、先進国が原発を使い、途上国には扱いやすい火力発電を提供するという考え方もあった。  

現在では輸出国側が、建設だけでなく法律や制度の整備、人材育成、場合によっては運転や使用済燃料燃料の始末まで請け負うようになっている。だが、輸出後の現地の政治情勢はどうなるかまったくわからない、この「不穏な時代」に、相手国が求めたにせよ、原発の輸出が行われることに不安を感じないわけにはいかない。まして自国の原発技術維持のための輸出は筋違いだ。

福島第一原発の事故でも解ったように、原発は数十年にわたって使用済燃料も含めて、大事故を起こさないようしっかりとした管理が行われなければならず、経済情勢の変化やテロや自然災害にも耐えるようになっていなければならない。そのようなことが、途上国の不穏な政治情勢の地域で将来とも可能であろうか。日本の原子力平和利用三原則が、日本にある原発だけのものであってはならず、日本が輸出した原発にも適用されなければならない。放おっておけば、中国やロシアが輸出してしまうからといって、日本が無定見に原発輸出に走るのは避けるべきだ。原子力平和利用は、平和がまず第一条件である。

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