日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

コンパクトタウン

富岡町第一次復興計画では、海岸の防潮堤を堅固なものにした上で、津波で流された富岡駅を再建し、その近くに公共施設、病院、商業施設、住居をまとめ、人口が何分の一に減ってしまう町民たちが集まって暮らせるようなコンパクトタウン構想が取り入れられた。コンパクトシティの試みは青森市が有名であるが、私は第二次復興計画づくりにあたって、コンパクトタウンは見直すべきだと考えている。

避難先のいわき市や郡山市で家が購入できなくて困っている人の大半は、条件として「最低100坪の敷地、出来れば200坪」を希望するからだ。家も広く、二世帯で住み、畑や車庫や物置があることが当たり前だったからだ。

都市ではせいぜい70坪の敷地を求めて駐車場2台分というのが標準的な家の敷地だ。建売住宅や土地の分譲の案内を見てもほとんどがそれに近いものだ。無論、富岡町でも商店街や新興住宅地ではその傾向が強い。都会は地価が高いことと、交通などが便利で商業施設などもふんだんにあるから敷地が狭くても我慢するということだ。不便で、店も少なく、敷地も狭いのでは何の魅力もない。田舎暮らしには広い敷地が必須だ。広い敷地であれば、静かで空気がよく、畑や庭も楽しめるし、高齢者に適した平屋が建てられる。

私自身、富岡町に住みたいと思ったのは、長年都会暮らしをしてきて、自然環境の良いところで、広々した敷地で庭などをやってみたかったからだ。いくら便利だからといって庭がないマンションや隣の生活が丸見えな暮らしは、もう嫌だと思った。特に引退してしまえば通勤は考えなくて良い。地方では首都圏で土地を求める資金で10倍の敷地が手に入る。今は、宅配便やインターネットが発達したので、田舎にいてもなんでも手に入る。たまに日本最大の観光地である東京に出かけて行って、ショッピングやグルメをすれば十分だ。原発事故が起きるまで、そんな生活を10年ほどすることが出来た。

高齢になれば車の運転も出来なくなるので、買い物や病院通いには、コンパクトタウンが良いという意見があるが、交通の便さえ確保してくれればよい。循環バスやデマンドバス、CATVや双方向の通信設備、宅配サービス、タクシーの補助があればよい。いよいよ身体が言うことを聞かなくなれば、しかるべき施設に入るまでだ。行政は効率を優先してコンパクトタウンを考えがちだが、田舎は静かで広くて自然に親しめ、そのうえ効率が悪いという贅沢を満喫出来るところに存在意義がある。だからこそ、地方では、行政は空家や耕作放棄地を荒れたままにしてはならない。その環境を維持する仕事をそこに住む健康な高齢者向けの雇用にすれば一石二鳥だ。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康