日本エネルギー会議

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組織の大小

以前から、福島県内の放射線の状況について、自治体やメディアが伝えるもものが、日毎に単なる場所毎の数字の羅列であり、時間的な比較や傾向がわからないものを流し続けているとの指摘をこのエッセイでしてきた。もちろん、自治体の担当者や読者質問係りに直接電話もした。世の中、そう簡単には変わらないとは知っているが、今もってわかりやすい伝え方をしているところはない。株式欄でさえ、昨日との株価の差が表示されているというのに。

先月末のこと、富岡町役場より定期便が届き、その中に「広報とみおか」7月号が入っていた。早速、最後のページの町内各所の放射線の状況(富岡町が測定した値)を見ると、なんと、先月の値とともに6ヶ月前の値が併記してあるではないか。一ヶ月前に若い担当者に電話をして、改善をお願いしておいたら今回から直ったのだ。早速、電話を入れてお礼を述べるとともに、出来れば半年おきに折れ線グラフで傾向がわかるようにしてもらえるとよいと言っておいた。

要求した私もやってみようと、広報誌を一年分引っ張り出してやってみたのが、次のグラフである。地点は私の家の近くの2ポイントで、帰還困難区域である。一年前よりかなり下がってきているがこのところ下がり方が少なくなっている。

これで私の町役場への評価は一気にあがったが、気になるのは県や大手メディアの方である。テレビでは今日もあいかわらず地図上に主な市町村の数値のみが記されているテロップを使っている。新聞も単なるその日だけの数字の羅列だ。視聴者や読者にどうやってより意義のある情報を伝えるかの姿勢が不足している。何も直接現地に測りに行けと言っているわけではない。僅かな努力、僅かな工夫で済むことだと思うのだが、一様に原子力規制庁の発表したものをそのまま表記している。それがまるで協定でも取り交わさせているかのごとく、年単位で変わらず行なわれていることも驚きである。

電話(フリーダイヤルでない)で質問をし、意見を申すと、大組織の対応はこれまた驚くほど似通っている。「紙面が不足している」「現在のものでも十分な情報になっている」「これで問題はないと思うがそのような意見があったことは伝えておきます」など。中には、「現在のような表示の仕方を望む読者もいますから」(あなたは少数派)と、完全に上から目線で対応する担当者もいる。どんな教育をして窓口に座らせているのだろう。大組織の一員になるにはそれだけの競争を勝ち抜き、能力もある人のはずだ。だが、何かが不足しているように思う。大組織のところが皆このようだとは言うつもりもないが、そのような傾向を感じたということだ。

かつて日本原電で教育を担当していた頃、電力各社の教育について調べたことがある。中国電力では新入社員教育が終わると、技術系は街の電気工事店に、事務系は地方デパートの売り場に派遣され、いやというほど消費者の対応をさせられた。電力会社が各地方で殿様のような存在であり、入社すればあらゆるところから頭を下げられる立場になることがわかっていたからだと思う。

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