日本エネルギー会議

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賠償金と税金

福島第一原発の事故にともなう個人への賠償が進んでいる。賠償は精神的損害、不動産などの財物の価値喪失、避難に伴うさまざまな費用、除染費用、身体生命の損害、就労不能(事故が原因で失職し、その後就職出来ない)、事業主の逸失利益など多岐にわたっている。こうした賠償金の中で、課税対象となるのが就労不能損害と事業主の逸失利益で、それ以外は課税されない。

このことは、市町村から住民への定期的なお知らせの封筒の中に、国税庁が作成したチラシが一度だけ入った。国税庁によれば、インターネットの国税庁のページにも書かれているとのことだ。

それによれば、これら二つの賠償金は一時所得として扱われるので、青色申告の際に一時所得欄に記入せよとなっている。あくまでも自己申告であり、意図的に申告に入れない人や、課税対象になっていること自体を知らず申告もしていない人もかなりいると思われる。

税務署は賠償の支払い先や金額を把握しているとは思えない。東京電力は支払いに当たって税の源泉徴収はしておらず、あくまでも賠償に関しては、個人情報として外部には出さないとしているからだ。国税庁は税務申告の猶予を来年三月までとするとともに、必要とあらば東京電力にデータの提供を求めるとしているが、果たして被災者に対して公平な税の徴収が出来るのだろうか。

精神的損害に対する賠償(月10万円)は、家族ひとりひとりに支払われるが、賠償請求は東京電力の決めた様式で請求し、査定された後に世帯であれば、代表者(通常は世帯主)の銀行口座に振込まれる。こうした金を将来のために親や祖父母の分までまとめて子供名義の定期預金にすると、贈与税が発生してしまう。ところがこれを知らないでやっている人、知っているが意図して脱税している人がいるようだ。本人名義の家の賠償金を使って、新たに家を造った場合、この際だから息子の名義にしておこうとすれば、それは相続税の対象となる。

相馬税務署(避難者が一番多い双葉郡を管轄している)では、避難している人たちからはこの手の相談や質問の電話がかなりあるという。国税庁はそのようなことをすれば、贈与や相続とみなされ高額の税金を払うことになるから注意するようにとの情報をこれまで被災者に流していないが、将来問題を起こさないためにも、チラシなどを使って被災者に注意を喚起するべきだろう。

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