日本エネルギー会議

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どこかで見かけた組織

6月20日の日本経済新聞の社説が「対話重視の原子力規制委に」の見出しで原子力規制委員会に注文を出していて、その中に次のようなくだりがある。

「規制委は縦割りの体制を改めるべきだ。委員はそれぞれ活断層や放射線防護など受け持ちがあり、自ら原子力規制庁職員を率いて仕事にあたっている。これが委員会の視野を狭めてはいないか。委員会は一人ひとりがゼネラリストとして多角的な視点から議論を交わすことを通じ、一人だけでは困難な総合的な判断ができる。日々の審査は規制庁に任せ、委員会は規制庁が下した判断を独自に吟味し可否を判断する役割に徹していくべきだ。規制庁という役所と一体化することも委員会の独立性を危うくする。」

私はこれを読んで、当たっていると思うと同時に、このような組織はどこかで見たことがある気がした。
福島第一原発の事故を起こした東京電力も含め、多くの日本の会社は、役員会(取締役会や常務会)の実態が各部門代表者会議になっている。取締役や常務取締役は、部門の長を兼務しているか、担当分野としての責任を与えられている。会議では互いに口出しはせず、静かにスピーディに会議が進行する。出席者は自らの部門以外の専門知識がないために意見を出しづらいが、口出ししないのがお互いのためという暗黙のルールがあるようにも見える。たまに部門の幹部が他の部門のトップになることがあるが、そのような場合は、元いた部門の意思は尊重し応援する側にまわる。難しい案件はトップや実力者にはあらかじめ根回しがされ、その結果は必要なら他部門にも事前に伝えられている。戦いは終わっているのであり、取締役会は確認に過ぎない。

監査役、考査部長などもいるが、情報は各部門が握っているので、こうしたお目付け役はそれほど脅威ではない。彼らもサラリーマンであり、トップの意向に逆らうわけにはいかない。社外から来た役員もいるが、天下ってきた元の会社なり役所なりのポスト化していて、プロパーの役員の意向を尊重する傾向が強い。  

電力会社は地域独占で、それぞれの会社に対しては互いに不干渉だったが、その構造がそのまま社内のガバナンスにも持ち込まれたようなものだ。このやり方や雰囲気は、社内の他の会議に伝播し、どこでも金太郎飴のようで、協力会社を入れた現場の安全推進協議会などの会議体も、概ねこれに近い運営状況である。不祥事や事件のあとで経営監視委員会のようなものはつくられるが、普段から懇意にしている先生などをメンバーにすることが多く、この日本的な役員会のやり方について注文をつけることは、今まであまりなかったようだ。

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