日本エネルギー会議

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ピークカットが鍵になる

日本の企業向け電気料金は、燃料費の増加などで2013年に東日本大震災前の10年比で25パーセント上がり、アメリカの2.5倍の水準となっている。これに対して企業側は節電、自家発電、新規参入者からの買電、あるいは工場の海外移転によってコストアップとならないような懸命の努力を続けている。建設機械の世界的メーカーのコマツが、国内の主力工場の改修を行い、なんと購入していた電力の9割を減らしている。景気が回復しているなかで、原発停止のまま今年もなんとか夏を乗り切れそうなのは、企業など消費者の節電努力によるところが大きい。

原発に対する新規制基準により、古い原発が廃炉になり、原発の基数が現在の3分の2になる事態が予測されるので、大停電を避けるためには、火力発電所の増設改修を行いつつ、需要のピークを下げておくことが大切だ。日本経済全体から見れば、年間あるいは一日の需要ピークを下げることが、余分な発電設備を削減し、電力会社の負担を減らすと同時に電気料金を下げることになり最も好ましい。

FITで火がついた風力やソーラーは、一昨年から猛烈な勢いで増えている。不安定な再生エネルギーが増えることで系統が乱されないよう、北海道など再生可能エネルギーの拡大しそうな所では、揚水式水力発電所(60万キロワット)の建設、大型蓄電池(住友電工製の6万キロワット級で経産省のプロジェクト指定を受けている)の変電所設置、系統連携の強化が始まっている。アメリカの電力会社は、州の指示を受け、住友電工に150万キロワットの蓄電池の発注をしたが、このような動きは日本でも広まると思われる。大型蓄電池は徐々に変電所、工場、集合住宅、鉄道などに採用され始めているが、家庭用の蓄電池もNECとオリックスが作った会社がリース方式で拡販をしている。深夜電力を昼間使うことで月に電気代が3~5千円安くなるので、着実に販売エリアと台数を増やしている。

電気自動車の普及は航続距離が少ないため遅れているが、普及が進むと家庭用の蓄電池となる。あの有名なアルコア社が、他社と共同開発したアルミニウム空気電池50キログラムを搭載した試作車で、一回の充電で1800キロを走破したとの情報があった。http://zapzapjp.com/39254430.html
使用済電池は普通のアルミニウム素材として再使用可能らしいが、若い頃、FBRによる核燃サイクルの話を初めて聞いたときのような高揚感を覚える。

このような状況から将来を展望すれば、当面の電力供給のピンチは原発の再稼働、石炭火力の新型化改修と、蓄電池や揚水式水力発電の増設で需要のピークを下げることで、全体の設備利用率を上げていくことでなんとか凌ぐことが出来そうだ。ちなみに3.11以前の我が国の全発電設備の稼働率は50パーセント程度。相当な改善の余地がある数字だ。当時の試算ではこれを1パーセント向上させると全体で1000億円の効果があると聞いた覚えがある。

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