日本エネルギー会議

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徹夜続き

先週から福島第一原発の事故に関する故吉田所長の調書が開示されていない問題が持ち上がっている。所長が調書の内容を開示しないよう上申していたことを菅官房長官が発表したが、所長が上申書を提出した意図、官房長官がそれを明かしたことの意味は何なのだろうか。そのことの追求はされていない。

福島第一原発の事故の現場対応の様子は単行本「死の淵を見た男」などによって知ることが出来るが、戦場にも似たすさまじい状況で、とても我々には耐えられそうもなく、人がよくあの状況で精神的に崩壊しなかったと驚嘆させられる。 

原発などの現場では誰でも経験することだが、大きなトラブルや人身事故が起きると、その対応のために間違いなく徹夜になる。若い人はともかく、50代ともなると徹夜1日でまず相当に疲れが出る。報告を聞いていても、資料を読んでいてもなかなか頭に入らない。二日もすれば頭が朦朧として脂汗が出てくる。その後は体の弱い人は、自分自身が本当に倒れないか心配をするようになる。

死の淵を見た男たちは、本当はどのように睡眠を取り、休息を取り、栄養を採っていたのか。肉体的だけでなく、精神的にも信じがたいような状況が一週間以上も続いていたはずだ。私は東京電力が人道的見地から、本店の原子力部門や他の原発の幹部を福島第一原発にどの程度支援のために送り込んでいたのか知りたいと思う。

アメリカでは原発の定期検査が、わずか10日から2週間であり、その間は発電所の従業員を半分に分けて二交代制をとっているところがある。所長以下昼のチームは朝7時から夜の7時まで勤務し、その後副所長以下の夜チームに業務を引き継いで自宅に引き上げる。深夜でも食事が出来、入域手続きも教育も昼と変わらない。発電所内でも発電所建屋のすぐ近くで休憩出来る場所を設けている。合理主義のアメリカらしいやり方であるが、人の健康もよく考えられている。

我が国でも、これからは過酷事故が発生する可能性があると考えるのであれば、事故時にどのように交替要員を送り込むか、そのための準備をしっかり考えておく必要がある。これは常駐協力会社やメーカー、あるいは後方支援チームについても言えることだ。重要免震棟内の冷たく固い床の上でのごろ寝では、体力も気力も回復しない。戦後70年経っても、戦時中に見られた日米の指導者の現場に対する考え方は変わっていない。

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