日本エネルギー会議

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恐竜

従来、原発推進は国策であり、コストや環境問題で原子力の関係者が競争相手の電源を意識することはほとんどなかった。ところが、全国の原発が停止している三年間に、他の電源の競争力が着実に向上したのに対し、原発は長期停止による減収と新基準に合わせるための1千億単位の設備改良を行うなど発電コストは上がる一方だ。また、事故による被害への賠償や廃炉が進み、使用済燃料の再処理や高レベル放射性廃棄物の処理処分の計画も、実現に向けて踏み出すよう促されるなど原発のコストアップ要因が将来に向けて顕在化しつつある。明らかに電源としての原発の経済的優位性は損なわれつつある。

火力発電ではコンバインドサイクルの石炭火力建設が進んでおり、コスト面、環境面での改善が著しい。また、アメリカ発のシェールガス革命の恩恵もありそうだ。再生エネルギーでは買い取り制度が出来たために、日本では家庭用のソーラー発電が飛躍的に伸び、またメガソーラーもブームといって良いほど急速に立ち上がっている。福島県でもどこそこでメガソーラー計画が発表されたというニュースは毎日のように報じられている。ソーラー発電のコストはこの三年間に毎年1割づつ低下しており、アメリカのように火力並に達してはいないものの、着実に発電コストを下げている。さらに欠点である不安定性や送電網の問題をクリアーするために、家庭やメガソーラーに蓄電池を設置する試みが始まっており、最近、これに対する国の補助制度も出来た。福島県の復興計画にも「県内における蓄電池産業」という言葉が見られる。

IT製品で実証されたように、ソーラーパネルなど工場生産品は、一旦普及が始まりコストダウンがスタートすると留まるところがない。これに比べて、原発のような重厚長大な設備産業は、技術者一世代の間でもさほどの進歩が見られない。技術だけでなく建設のための立地も気の遠くなるような年数がかかっている。一基作るのに一度に数千億円もの投資をし、その回収に数十年も掛かることも、最後に廃炉という大仕事があることも経営的には大きなリスクだ。寿命を全う出来ず途中で躓けば、予定していた発電コストではなくなる。

もともと安定した大出力を誇り、比類なき発電効率の高さを誇ってきた原発だが、今の傾向が続けば、いずれ優位ではなくなる。それは環境に適応して進化しつづける哺乳類に対する巨大な恐竜のようにも見える。 

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