日本エネルギー会議

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過酷事故の意識

福島第一原発の事故が起きてから、原子力行政当局や電力会社は過酷事故のことを考えていなかったという批判があった。しかし、原子炉設置許可基準の中には、立地地点周辺が人口密集地でないことが基準としてあり、事故を起こした福島第一原発や福島第二原発は、この基準で考えれば最適の場所に建てられていた。その選択の背景には明らかに過酷事故が起り得るとの考え方があったはずだ。反対派からは「そんなに安全なら東京に作れ」と攻撃されたが、それは基準が許さない。

福島県は東から縦に浜通り、中通り、会津の三地域に分けられるが、図1のとおり、人口が一番多いのが福島市や郡山市がある中通りで6割強。ついで原発のある浜通りが2割5分、会津が残りである。
図1

さらに、浜通りの人口分布を見ると、図2のようになる。
図2

浜通りでは原発から南方向に一番遠いいわき市が7割を占め、ついで原発から遠く北の方向にある南相馬市が2割程度。原発周辺の大熊町など4町集めても残り1割強である。この20年間で大熊町は増、富岡町は維持、双葉町と浪江町は減となっていて、4町合計では減少傾向が続いている。

このことから分かるように、福島県における原発立地は、人口の最も希薄な地域にするという設置許可基準を見事に反映している。事故が起きた場合、住民が避難するにしても、一番原発に近い4町の人口を合計しても、数万人に過ぎないので、都市部から離れていることは防災上間違いなく有利である。

人口密度の低いところに原発を作るという考え方は、福島第一原発の場合、実際に活かされ続けてきたとも言えるが、何故双葉郡に原発を建設したかという住民の質問に対しては、冷却水取水のため海に面して地盤が強固、充分広い土地が確保出来る、地価が東京のように高くない、消費地に遠すぎないことなどを理由として説明し、あえて人口密度の話は避けていた。それは出来る限り、過酷事故を想定しているということで住民を心配させないようにした方が良いとの判断でそのようにしていたように思う。

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