日本エネルギー会議

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原発半減の人的影響

現在再稼働を目指して原子力規制委員会に審査申請が出ている原発は17基。これが今年いっぱい掛かり再稼働に漕ぎ着けたとしても、残りの原発は審査合格するには技術的、資金的ハードルが高いために、再稼働は来年以降となりそうだ。運転期間40年を過ぎた原発やそれに近い原発は、改修費用が多額であり、残りの期間での追加投資分の償却が難しいために廃炉を決定する可能性が高い。すると設備容量を維持するためには少なくともリプレイスしなくてはならないが、新設、増設のハードルは地盤に対する心配や住民の意識変化で以前より明らかに高くなっている。

新増設には実質的に今から数年から10年はかかる。その間、全国で10基から20基が減った状態が続く可能性がある。そうなると運転員をはじめ保修関係の人員も基数分を減らさなくてはならないが、運転員や技術系社員は廃炉に回すことが考えられる。すでに廃炉を進めている日本原電の東海原発では、廃炉部門に元運転員を相当数配置転換している。

従来、各電力会社は、ある程度の基数があったので、本社にも技術スタッフを抱えてこられたのであり、基数が少なくなれば同じ規模の体制を維持するのは苦しくなる。今後、新たな試みとして、各社の原子力部門の人材を共同で使うことが考えられる。沸騰水型と加圧水型にわけて全国の原発を管理するために二社を新たに作って、そこに各電力会社の原子力部門を合体することが人材の面からは考えられる。そうすれば効率よく、型ごとの技術的課題も共通となる。廃炉についても廃炉専門会社を作った方が合理的だ。また、リプレイスのための新型炉の開発も共同でやったほうが良い。

再稼働する原発が少なければ、電力会社だけでなくメンテナンスをするメーカー、工事会社も空前の人余りになり、解雇出来なければ、他部門への異動ということになる。2000年代に建設が少なくなって、原子炉メーカーは原子力部門で大幅な人員削減をしたが、その結果、全体として力が低下したり、次世代の人材育成に支障をきたしたりした経験を持つが、今回はその規模では済まないだろう。

原発の輸出が順調であればメーカーの人材問題は乗り切れるかもしれないが、見通しは必ずしも順調ではなさそうだ。下請工事会社においては、技術伝承といった点で、国内のパイが半減することの影響は大きく、原発離れをすることは防げない。福島第一原発の困難な廃炉工事と今後増加する各社の廃炉工事が、この窮状をどの程度カバーしてくれるか予測はつき難い。 

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