日本エネルギー会議

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想定外(つづき)

先日、「想定外」は想定出来ないのだから、対策の打ちようがないと書いたら、かつての同僚である上田隆氏がそれを読んで、「想定内」の対策も想定した以上の機能がある可能性があるのではないかとコメントされてきた。

そういえば、福島第一原発の事故で、現場で指揮をした吉田所長たちはありとあらゆる物を駆使して対応をしていた。駐車場にあった車のバッテリーを外してきて連結し電源に使うなど、あの状況でよく考えついたと感心したものだ。

福島第二原発、東海第二原発が津波の被害を受けながら、どのようにしてメルトダウンを防いだかよく調べて、「想定内」の対策をどのように「想定外」の対策に活かしたか教訓を得るべきだ。これは安全や防災の柱となるべき事柄である。

フランスのEDFとAREVAの事故対策チームの合同訓練は、シナリオをメンバーに知らせずに行うブラインドテストであり、私にはまさに知的格闘技に見えた。この訓練でチーム員に冷静な情報分析力、図面の解析力、事態を正しく認識する力、これからの展開を推測する力、持続する体力、不屈の精神力、チームワークなどが養われていた。こうしておかねば、火事場の馬鹿力は出そうにも出ない。

日本では運転員の訓練ではブラインドテストも行われているが、本当はフランスのように事故対応に当たる技術チームのブラインド訓練をしなくてはいけない。日本が電力会社と原子炉メーカーの合同チームを作ってこれをやっていなかったのはまずかった。そのようにして訓練された人材を本社や現場に配置しておくべきであり、これをやっておけば原発の防災は全然違ってくる。新たな規制基準の抜けている点も見つかる可能性がある。原子力規制委員会はこのことにぜひとも着目してもらいたいものだ。

所長が、いくら機転がきいても、ある程度の備えがなくては、それも限界があるということが、福島第一原発の事故で判った。どんなに使命感にあふれた運転員でも、強い放射線、高い圧力、高温、汚染水には手も足も出なかった。道工具にしても資材にしても、いろいろな用途に使えるものを準備しておくべきだ。今後は偵察用ロボットなども常備品になる可能性がある。それらを想定外のことにまで自在に使いこなすための実地訓練も欠かせないことは言うまでもない。

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