日本エネルギー会議

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直営の意義

富岡町からの避難している町民に送られる定期便には、毎回、東京電力からのお知らせチラシが同封されてくる。チラシはA4カラーコピー裏表。福島第一原発の廃炉の状況とともに福島第二原発の近況も知らせてくるが、第二原発については、県民が「もう福島には原発はいらない」と反発しているなかでの懸命のアッピールだ。一昨日、自民党は県連の定期大会で、11月の任期満了に伴う知事選に新人を擁立すると宣言。前回は自民、民主相乗りで佐藤知事を擁立したのに、現職佐藤知事が来賓として来ているなかでの自民党新人擁立発表は、佐藤知事に対して失礼だと思った県民も多いだろう。これを福島第二原発の復帰に向けた動きの一環と捉えるむきもある。

チラシの中で、東京電力は技術力強化訓練の様子を写真入りで紹介している。「過日、津波により一部の建家が浸水し、冷却に必要なモーターが使用不能となりましたが、協力企業の協力を得て復旧し、冷却を再開しました。モーター取替チームは、非常事態でモーターが使用不能となっても、当社単独で予備のモーターへすみやかに取り替えられるよう、クレーン操作や玉掛け等訓練に日々励んでいます」という説明がついている。

昨年7月からは、震災時の経験から得た教訓をもとに、4つのプロジェクトチーム(モーター取替、ケーブル接続、ポンプ復旧、ガレキ撤去)を結成し、有事の際、東京電力単独でも原子炉等の冷却を迅速に再開出来るよう、今後とも、訓練を重ね、より一層の安全性の向上を目指すとしている。さらに機器が壊れた場合でも、当社社員単独で対応できる技術力の習得訓練を、計画的に行っていますと書いてあったが、県民からすれば、いまさらの感ありだ。

10年前、電力業界の一部では、電力会社は原発に関して社員の実務知識、経験がなくなり、いまや多くを原子炉メーカーや工事会社に依存していることに問題意識を持ち、電力会社の社員や子会社の社員による、いわゆる直営を試行したことがある。その際の問題意識としては、電力会社が現場実務から遠くなることで、管理能力までもが低下していることや、請負先が出してくる見積の査定も十分に出来ないことなどがあった。

当時は残念ながら、過酷事故はあり得ないと考え、万一の事故に備えて電力会社社員だけでも対応出来るようにしようという発想はなかった。それに構内に常駐している工事会社は、契約内容にはなくても、万一の際には必ず協力してもらえると疑いもしなかった。福島第一原発の事故で、注水のためのホースのつなぎ込み、消防車の操作、ケーブルの引き込みなど東京電力の社員では出来ないことが明らかになった。常駐の工事会社は義理堅く協力をしてくれたのは、期待通りだったが…。今回、東京電力をはじめとし、電力各社でこのような直営の教育訓練がなされようとしていることは、責任の自覚という点で大きな前進だ。

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