日本エネルギー会議

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見飽きた映像

福島第一原発で原子炉を冷却した後の汚染水を貯蔵するタンクから100トンの汚染水が漏れ、周辺敷地に流れ出した事故が起きたのが、今月二十日のこと。水には1リットル当たり2億ベクレル超と超高濃度のストロンチウムなどが含まれ、閉まっているはずのタンクの弁が開きっぱなしになっていたことなど、その杜撰さに各方面から厳しい批判の声があがった。

原子力規制委員会の委員からは、事故が起きたことよりも事故が起きていることすら気づかず、大幅に対応が遅れたことに「あまりにも稚拙で企業の体質、安全管理のあり方など根深い問題がある」などの意見が出された。原子力規制委員会も福島第一原発を特定原子力施設と位置づけているわりには、監視に稚拙さがあったと言わざるを得ないが、そのことについて委員は口をつぐんだ。

福島県は東京電力の副社長を県庁に呼び、副知事より最大級の厳重注意を与え、これをメディアの映像に撮らせている。汚染水問題がクローズアップされてから、毎週のように繰り返される何万ベクレル漏洩という記事に、福島県民はいささか食傷気味で、県が東京電力を呼んで注意を与えることしか出来ないことに苛立ちを感じている。要は、福島第一原発が運転をしていた頃、事故トラブルが起きるたびに繰り返されていた儀式がそのまま続いているだけだ。

一般の企業であれば、重大事故の結果は操業停止であり、これが企業にとっては一番痛い処分である。東京電力も福島第一原発廃炉作業の事故が、原子力規制委員会に悪印象を与え、これが再稼働を目指す柏崎刈羽原発の安全審査に「会社の体質問題が直っていない」と影響することを心配している。巨額の借金をした企業が、金融機関に対してさらなる融資をしなければ、倒産し金融機関も共倒れになりますよと脅しているようなもので、重大な事故を起こした場合でも、廃炉作業を一時ストップさせるわけにもいかないことが福島県民のストレスになっている。

政府は廃炉や賠償に関し、今後は「国が全面に出る」と宣言したが、それは原子力規制委員会が適切に東京電力の指導監督をするというだけの意味なのだろうか。国会の予算委員会では、共産党の質問者と田中委員長が、過去に起きた事故トラブル件数についてやりとりをしていたが、現場の管理状況が良くなりつつあるのか、変わらないのかが不明だ。

二千人も働いている現場であれば、毎日「すべった、転んだ」があるのは当たり前。働いている人にあまりプレッシャーをかければ、萎縮するか事故隠しが始まる。普通にやっていて事故にならないように設備を改善したり、環境条件をよくしたり、作業内容を単純化したりしてムリ・ムダ・ムラが作業者にしわ寄せされないようにするのが管理者の役割だ。

原発事故のように事故トラブルを深刻さに応じてランク付けし、時系列やエリア、あるいは作業種別で比較する必要がある。よく、建設現場では、「今日で無事故連続何日」という安全表示を見かけるが、これを公表して関係者の励みにするのも一案だ。

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