日本エネルギー会議

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廃炉は未来現場

福島第一原発の廃炉作業では、各方面から人材確保を心配する声が聞こえてくる。メルトダウンした1号機から3号機では、放射線量が極めて高く、内部になかなか入れない。また、建屋外周でも場所によってはかなりの高線量で、作業員の被ばく線量を食ってしまう。規制値に近づいた作業員は、現場から出し新たな作業員を投入するしかないが、除染や復興、それに東京五輪などの影響で今後も集められるかが気がかりだ。廃炉といっても、福島の場合は、事故炉の廃炉作業であることが決定的な問題であり、単に高線量なだけでなく、床や構造物の健全性を確認しながらの作業となることもハンディである。

ピンチはチャンスとも言うが、福島第一原発の廃炉もこの際、従来のゼネコンやメーカーの多層構造請負体制の動員力を使った人集めを止めることを考えた方が良い。今まで定期検査の現場では、高線量の場所があり、そこを通過しなければならないと、「ここは走って下さい」と言われた。福島の廃炉現場はそのような場所ばかりだと考えられる。しっかり遮蔽して、走らなくても良いようにするのが得策だ。既に燃料プール周辺で床に遮蔽板を敷いて、線量を大幅にカット出来た例もあると聞いている。高線量の場所は徹底して遮蔽をするべきで、これから長い廃炉作業を考えると、経済的にもペイするはずだ。

そして、福島の廃炉作業には徹底してITとロボットを駆使すべきだ。専門メーカーの参入を促し、開発と実用機の提供、メンテナンスや交換部品の提供を行う共同の企業体を創れば良い。ロボットと言えば無人だが、アニメのように遮蔽されたロボット内部に人が入って操縦するようなロボットを開発することも考えられる。

かつて、日本原電で直営作業と称して、定期検査などで一つの機器の分解点検組立を請負に出さず、原電社員だけで行う試みをした経験がある。その時、社長に「その機器のある部屋の中には、原電社員以外は入れてはいけない」と厳命された。下請け業者を使うことを禁じられた原電の直営グループは、防護シート貼り、足場の組立から、ホイストの操作、部品の運搬、汚染物品の廃棄まですべてを経験することとなった。

福島の廃炉作業では、「人は一切高線量の現場区画には入ってはならない」という条件をつけると良い。そのくらいの指示を出せば、ロボットの開発陣も張り切るはずだ。人件費の計算をして、これなら人を使った方が安いと言っているようでは、ロボット開発も中途半端なものになる。

医療の世界で遠隔手術が通信技術、IT技術、ロボット技術を集めて行われる状況を見ると、国内の研究機関や海外から福島の廃炉作業を遠隔で行うことも夢ではないはずだ。「転んでもタダでは起きない」の精神で、原発の廃炉を新たな技術開発に結びつけてこそ、廃炉に掛かる費用が活きるというものだ。

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